色街は「摘発直前が一番燃え上がるんです」
――「文春オンラインTV」の読者から、「今まで取材されていて、身に危険を感じることはありましたか?」という質問が届いています。
八木澤 横浜の黄金町という街が、一番初めに取材した色街だったのですが、やっぱりヒリヒリした場所でしたね。
大阪の飛田新地でも携帯のカメラでパッと撮っても「兄ちゃん、駄目だよ」と怒られたものですが、黄金町ではそもそもカメラを出せなかった。カメラを壊されてしまう。僕自身、何とか見つからないように写真は撮っていましたが、大岡川という川越しに写真を撮っているだけで、カメラを掴まれたことがあります。「お前、何やってるんだ」と。ちょうど黄金町が潰れる前ですから、2003年ごろの話ですね。
――「今は、泉の広場に立っている女性はいるのですか」という質問もありました。
八木澤 立っていることもあるようです。「泉の広場」に近い兎我野の風俗店従業員から、そういう話を聞きました。僕は見てないのですが。「泉の広場」から上がったところのラブホテル街に立っていたのは僕も見ました。
――「泉の広場の全盛期はいつの話だったの?」という質問も来ています。
八木澤 10年くらい前から、摘発が始まる2年ほど前までは、にぎやかな時代が続いていたのではないでしょうか。色街を取材していると、摘発直前が一番燃え上がるんです。線香花火がパッと落ちる時みたいに。また黄金町の話になって申し訳ないんですが、あそこも潰れる1、2年前は娼婦がいっぱい居た。当時は新宿の浄化作戦も始まって、他の町から横浜に流れてきていたんです。
「泉の広場」で摘発された女性の中には四国や九州から来た方もいたようですが、結局別のところで商売にならないから、流れてくることが多い。そうすると女性が急に増えて、周りの店から警察に陳情が行くわけです。それだけ目立つので。そうやって大掛かりな摘発が起きる。「泉の広場」でも、そういう流れがあったのではないでしょうか。
――「女性たちは、なぜお店じゃなくて個人でやるの?」という質問についてはいかがでしょうか。
八木澤 例えば飛田の店やデリヘルもあると思うんですが、そういう店だと競争が発生する。飛田なら「青春通り」に若い子が集まることで有名ですが、そこではなかなか稼げない女性たちが立ちんぼに流れたりするんです。お店だと、どうしても若さや見た目が重要視される。何となく雰囲気は分かる写真も出していますから。それより立ちんぼのほうが、お客さんをつかまえやすいからではないでしょうか。
――いまコロナ禍ですが、全国各地で立ちんぼ行為は続いているんですか?
八木澤 なくなってはいませんね。逆にマッチングアプリも含めて、個人で売春する人は増えているんじゃないかと思います。コロナで、他の風俗や水商売にお客さんが来なくなっていますから。僕の聞いた限りですが、そういう動きは起きているようです。
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文春オンラインTV「体を売った女性61人が現行犯逮捕された『大阪“ど真ん中”の待ち合わせスポット』で何が起きていたのか?《直撃ルポ》」
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