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2021/06/27

阪口家の場合は…

 では、セルフビルドと資格の話に戻ります。我が家のセルフビルドはどうだったのか? 

 我が家のような木造住宅を作る上で、「施工=実際の工作」に資格要件はありません。材木を加工して柱を作るのも、その柱を組み立てて家の骨組みを作るのも、誰がやっても構わないのです。

材木店から初めて届いた桧の角材32本。この材木は家の一番下、土台となる。ここからセルフビルドは始まった。

 ただし、その柱をどんな材木で作って、どんな風に組み合わせて家を作るのか「設計」することと、設計通りにちゃんと真面目に工事をやってるか「工事監理」することには、資格が必要になります。

 2021年現在の法律的には、3坪(畳6枚分)以上の木造建築物の設計は、建築確認申請が必要で、30坪以上の場合、建築士資格を持った者が設計と工事監理を行う必要があります。

 じゃあ30坪以下の家なら適当にやっても良いのかというと、日本の役所はその他に色々と制約があり簡単ではありません。実際、悲惨な災害と度重なる違法建築事件を受けて、この辺りの法律はどんどん厳しくなってます。

 そこで我が家でも、間取り図は自分で作って、「建築確認申請のための書類」と「建築工事中の定められたチェック=監理」を建築士さんにお願いしました。素人建築の現場に付き合ってくれた建築士さんには感謝しております。

 また、建物の一番下の部分「コンクリ基礎」も専門業者に工事を依頼しました。この工事も自分でやりたかったのですが、セルフビルドを許してくれた妻が「ここだけは絶対にダメだ」と譲りませんでした。全部自分でやりたかっただけに残念ですが、まあ妻の心配もわからないではありません(笑) 。

娘を背負って土台をコンクリ基礎にボルト留めする妻のカナコさん。

 その他、資格が必要なプロにお願いしたのは「電気配線」「ガス配管」「水道引き込み」です。どれも失敗すると近隣にまで被害の及ぶ工事ばかりで、法律で規制されているのも納得のものばかりですね。

 逆にいえば、これら以外の木材加工や棟上げ、屋根、窓などなどの工事は、すべて自分たちでやりました。もちろんプロの現場では「作業員の安全」や「消費者の利益」のために規制がかかっている作業もありますが、セルフビルドの現場ではすべて自己責任。問題なく行うことができました。

よく聞かれる質問第4位:「セルフビルドで大変だったことは何?」

構造材が無事組み上がって一安心。ちなみに「真ん中で一番目立ってるのは友人で、私は左端のブルーの作業着」とは筆者談。

 すべての工事が無事に終わり、快適に暮らしている今なら、大変だった作業ほど良い思い出になっています。でも実際の作業中は悪夢の連続でした。

 まず苦労したのが、最初の構造に使う材木の加工でした。在来軸組工法という作り方で作った我が家では、土台や柱などに200本近いパーツを使います。これらパーツを材木屋さんから買ってきた材を加工して作るのです。