21m巻が1本3500円。これを3本追加して、もう一度張り直しましたが、その数日後には案の定、また吹っ飛んでいったのです。そこかしこに散乱した緑と黒の紙の残骸を見たときは、ショックのあまり座り込んでしまいました。金銭的にも辛かったですが、今までの労力と時間が一瞬でパーになったというメンタルダメージの方が大きかったですね。
しかし、めげていても、何も解決しないのがセルフビルド。ここで踏ん張らないと、飛ばずに残った防水シートが無駄になりますし、雨ざらしの骨組みが水浸しになってしまいます。このあと根性で3回目の施工を行い、一気に屋根材でカバーして完成にこぎつけたのでした。
「ホントにこれで、ウンコが流れるのか?」
もうひとつ、体力的にキツかったのが、家外側の排水管工事でした。我が家のあるエリアに下水道は通っていません。なので代わりに浄化槽が入っています。風呂やトイレ、台所などからの排水をこの浄化槽へ通すためのパイプを設置したのです。
我が家の場合、建物基礎側面に4箇所、排水管の出口があります。この出口と浄化槽を排水パイプで繋ぐのですが、これが難しい。地面に溝を掘り直径10cm、長さ4mの塩化ビニールでできた管を勾配をつけてつなぎ合わせていくのです。その勾配はズバリ「1/100勾配」。100cm進んで1cm下がる勾配なのです。「1mで1cm」!! これは驚くほど、少ないの。正直、ぱっと見では勾配が付いているのかどうかもわからない。
「ホントにこれで、ウンコが流れるのか?」って言うぐらい緩やかなのです。「もっと急勾配にすればいいじゃん」ってのが素人の率直な感想なのですが、それは素人の浅はかさ。あまり急な勾配にしすぎると、液体だけが先に流れ、固形物(ウンコ)は取り残されてしまうのです!! 恐ろしいですね。
しかし言うのは簡単、やるのは困難。最奥の出口から浄化槽までの20mを、実際に1/100の勾配を維持して配管し続けるのは非常に難しいことでした。
この勾配は、パイプに水準器を乗せて測ります。真っ平らなら目盛りの真ん中に来る水泡を、目盛り1個分横にずらすと1/100勾配。パイプは1本4mなので、端と端での高低差は4cm。しかも下はデコボコの土の溝。パイプの下に小さな石があるだけ。パイプのどこかをちょっと強く押すだけ、これだけであっという間に勾配の向きも強さも変わる。「こんなの無理じゃん!!」と何度叫んだかしれません。