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迷ったときの「人情」で雲行きは怪しくなり…

「ここは、勾配が付いてないよりは、強い方が良いよな」

 と、迷いが生じると、ちょっとキツめの勾配にしようとするのが、人情ってものでしょう。ええ、賢明なみなさんの予想通り。ここが失敗の始まりでした。

 我が家の排水管は前述の通り20m。これが1/100勾配だと高低差は20cmとなります。そしてその勾配を1.5倍キツくすると高低差は30センチ、2倍だと40cmとなるのです。これでは地面からパイプが飛び出してしまいます。

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案の定、我が家の場合も最奥の穴よりも上に排水管が来たのでした。これでは水は流れません。そして全ての排水管は接着剤でつながれ、家側の出口とも一体化しております。ここから悪夢の排水管掘り下げ工事が始まったのでした。

下水配管のやり直し。「セルフビルド中、一番きつかった作業です」(筆者)。

 この工事を行なったのは、木の葉も散り、クリスマスソングが鳴り響く冬の始まりのこと。工事現場は家の北側の地面。寒い場所です。おまけに冷たい雨なども降ってきて……。グチョグチョの溝の中、かじかむ手で排水管を持ち上げ、下の土を掻き出すことの繰り返し。辛い辛い思い出です。

 ただ、キツイ思い出ほど懐かしいのもたしか。何でも順調にスイスイと進んでは、面白くもありません。どれだけ家族や仲間と辛い思い出を共有できるのか? そんなところもセルフビルドの魅力なのかもしれません。

よく聞かれる質問 第3位:「完成後に住んでみて、どう? 何か問題はなかった?」

 いやー、とっても住み良いですよ。もちろん、これが大金を支払って住宅メーカーに作ってもらった家だとしたら、あっちこっちに気になる欠陥が多いのも事実。

 玄関ドアがギーギー鳴るとか、西日の強い日は玄関ドアが開かないとか、ついでに雨の日はトイレのドアが開かないとか、ロフトへの階段が無くて脚立で上がってるとか、居間の壁の上の方に隙間があるとか、いつまでたっても和室と居間の境に襖が入らないとか……もういいや(笑)。本当、不都合な場所を言い出せばキリがないですね。

 でも、これらの瑕疵は全部自分の責任で、どういう理由でそうなってるかもわかっていて、直そうと思えば自分でできるってのがセルフビルド。まあ妻に文句言われても、面倒で直してないところの方が多いのですが(笑)。

完成後の和室は床の間付き。畳や襖、エアコンまで入って立派なもの。

襲いかかる近年のゲリラ豪雨 そのとき阪口家は…

 直したといえば、この間、雨漏りを直しました。最近多いゲリラ豪雨。我が家のある秩父エリアでも増えております。その日もゴウゴウと音を立て、すごい雨が降っていました。

「すごい雨だなー」と、月並みな感想を覚えながら居間でテレビをみていると、廊下から妻の大声が聞こえます。急いで駆けつけると床が水浸しで、ポタポタと天井から水が滴っていました。