1ページ目から読む
3/4ページ目

韓国を中心に国際社会見るか、国際社会を中心に韓国を見るか

 こうした現象を天動説と地動説に例えた国際法学者もいる。一部コメントを抜粋しよう。

「国際法的事案については、(韓国)国内の裁判所の法解釈と適用は韓国を中心として国際社会を見る“天動説”の視角から脱皮して国際社会を中心に韓国を見る“地動説”の観点でアプローチすべきだ」(ソウル新聞6月18日)

 つまり、元徴用工を巡る裁判を例にすれば、2018年の韓国最高裁の判決は天動説に立ったもので、先の6月7日の下級審の判決は地動説として解釈されるというわけだ。そういう意味でも韓国では6月7日の判決を新しい解釈を掲げる「裁判所の反乱」と評価する声も出た。しかし、「判決には不必要な記述があり、新しい法理とはいえない」とそうした見方を一蹴した国際法学者もいた。

ADVERTISEMENT

 どういうことか。6月7日の判決文には、こんなことも書かれていた。「自由民主主義という憲法的価値を共有する西欧勢力の代表国家中のひとつである日本との関係が毀損され、これは結局は韓米同盟によりわれわれの安保と直結した米国との関係毀損にまで及ぶ」「請求権協定により得た円貨はいわゆる漢江の奇跡へ大きく寄与した」。

 こうした文言は司法が政治・外交に介入したとして波紋を広げ、原告からはさらなる怒りを買った。SNSには「韓国の判事ではなく日本の判事か」「売国奴」といった判事を猛烈に批判するコメントが殺到、判事の実名のハッシュタグもでき、青瓦台(大統領府)の請願掲示板には判事の弾劾を要求する請願が立った。請願には32万人あまりの賛同が集っている(6月24日現在)。

©️AFLO

 メディアの評価も割れた。進歩系のハンギョレ新聞は「人権を無視した判決では韓日関係の未来へは向かえない」(6月8日)と判決を烈しく批判し、保守寄りの中央日報は「食い違う強制徴用判決…外交的妥協で解決せよ」(同)と書いている。

 また、中道系のソウル新聞は「徴用被害、政府が救済し、日本への責任は永遠に問え」(同)という社説でこう説いた。「歴史問題に退行的な日本を説得することは不可能だ」とし「国が略奪されて発生した強制動員と慰安婦被害を正常化した国家(韓国)が救済すべきだ。そのことにより、日本へ永遠に責任を問うことにもなる」