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黄金豚は朝焼けに輝く
闇が青みがかってきた。朝だ。急に冷え込みが厳しくなる。南の島とはいえ、山間部の朝方は冷えるのだ。足が冷たくなってきたので、火に近づく。暖まると眠くなり、立ったまま火の中に倒れ込みそうになる。ううう。あたりが明るくなってきた頃、ようやくバビグリンは黄金色に焼け始めた。気がつくと1.2倍ほどに膨れ上がり、ぺちゃんこだったお腹もパンパンに膨れている。
「……旨そうだな……」
えっ? 今の日本語だよね。振り向くと、黄金色に焼けるバビグリンに熱い視線を這わせる徳武さんが立っていた。あれ、さっきまでちょっと辛そうにそっぽを向いて引っ込んでたのに、焼けてきたらオーケーなんだ。案外この人はタフだな。
私はといえば、脳味噌は喜んでるんだけど、徹夜明けの胃袋の方は、この油滴るバビグリンを見て、すでに逃げ腰。これ早朝から食うのか……。夜にビール片手に食べるなら最高なんですがね……。
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