1ページ目から読む
3/3ページ目

「辞めたいのなら、指の1本でも持って来い」

 1992年に施行された暴力団対策法には、そもそも指詰めを禁ずる規定がある。違反した場合には中止命令が出され、さらに違反が認められれば再発防止命令へとステップアップし、さらに応じなければ逮捕となる。

 近年では2015年3月に福岡県公安委員会が道仁会系幹部(41)に対して、組員に指詰めの強要や組からの脱退を妨害しないよう求める再発防止命令を出したケースがある。指詰めの強要行為に対して再発防止命令を出すのはこれが全国初だった。

 同幹部は2013年11月、組員(31)が、「組を辞めて、まじめにカタギになって仕事をしたい」と申し出てきたのに対して、「そのような理由で辞められると思うなよ。辞めたいのなら、指の1本でも持って来い」と指を詰めることを強要したうえ、脱退を妨害したとして中止命令を受けていた。

ADVERTISEMENT

 しかし、2014年8月にも別の組員(28)の脱退を妨害し、指詰めを強要していたため、さらに繰り返し組員らに指詰めを強要するなどの恐れがあるとして再発防止命令を出すことになった。

警察は瓶詰の指を押収して、ひとつずつ取り出して指紋を採取したという(写真はイメージ) ©iStock.com

足の指を切断するケースも

 20年以上前になるが、同じように脱退をめぐるトラブルから、元組員の少年(17)の指を切断した事件が摘発されたことがあった。

 稲川会系組員ら2人が1997年4月、山梨県警に傷害容疑で逮捕された。組員らは、「(少年が)無断で組を脱会したので、指詰めでけじめをつけさせた」と供述していた。相手が未成年であっても凄惨な制裁が下されていた。

 関西地方で活動していて数年前に引退した指定暴力団の元幹部が以前、指詰めの代替措置として行われていた行為について述べていた。

「昔は、組を抜けるとなると指詰めは当然のように行われていた。ただ、その後のカタギとしての生活に大きな支障をきたすと認められた場合は、手の指を落とすことは免除された。その代わりに、右足の親指を切断していたという話を聞いたことがある。足の親指を落とすと、バランスが取れず歩くのが困難になるためらしい」

(肩書、年齢は当時)

#3に続く)