文春オンライン

「打てなかった僕が言うんだから間違いないですよ」川﨑宗則が語る大谷翔平が活躍し続ける“明確な理由”

『証言 大谷翔平』より #1

2021/07/19
note

リラックスするのもトレーニング

 川﨑もアメリカ時代はよくメンタルケアの面談を受けていた。通訳なしで臨んでいたため、その面談でもシンプルな英語を駆使して自力でトーク。考えがまとまらなかったとしても、まずは口に出してみることが大事だという。

「たわいもないことでもいいんですよ。ほかの人に話してみることです。いま何を思っているかを話して、自分のいろんな考えをとりあえず風船みたいにふわふわと置いておく。そうしておいて、今度は風船を見る角度を変えてみると、考えを客観的に見れるようになったりします。話したくないことは話さなくていいし、話せることを話していく。大事なことだと思うんですよ。野球だけじゃなくて」

©文藝春秋

 2017年に古巣・ソフトバンクで日本球界に復帰。その後は、自律神経失調症に苦しんだ時期もある。19年に台湾・味全ドラゴンズでコーチ兼選手として現役復帰し、20年も台湾でプレーする予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で断念。独立リーグ「ルートインBCリーグ」の栃木ゴールデンブレーブスでプレーすることになり、今年で2年目を迎えた。

ADVERTISEMENT

「日本では『メンタルケア』って言うと、すごく言いづらいんですよ。みんな警戒しちゃうし、『メンタル、弱いんだ』って思われたくないじゃないですか。ほかの言葉に変えるべきですね。“癒やし系トレーナー”とか(笑)。うん、いいね。癒やし系トレーナーって名前。各球団、各会社、各学校、各家庭でも癒やしを取り入れてほしい。動物を触る、お酒を飲む、スイーツを食べる。何でもいいんです。一日のなかで1個でも2個でもいい。それがいいパフォーマンスに……じゃないな、幸せ度につながるんです」

『証言 大谷翔平』(宝島社)

 日本球界復帰後に体調を崩したときは、ダルビッシュから瞑想のトレーニングを教えてもらったという。言葉も環境も異なるアメリカ時代は、メンタルケアの面談のほかにも“癒やし”の場があった。

「試合後は、チームメートにホテルのバーへ連れて行ってもらって、ウイスキーを飲みながら英語を教えてもらっていました。飲みながら、みんなの英語を聞いてるだけでいい。全員酔っぱらうと、僕の英語がなぜか流暢になっちゃって、しゃべれるようになるんです。それがすごく癒やされました。最近は栃木で温泉に入って、瞑想していますね。リラックス、リラックス、リラックス。温泉に入って瞑想して癒やされています」