照れ隠しでギャグ寄りになっていくうちに、今の作風に
――画力の高さはもちろんですが、高い中毒性を持つ独特のユーモアとセンスが、どこにもない和山さんの魅力だと思います。どのように今のような作風を生み出されたのでしょうか。
和山 漫画家を目指そうと思っていた時は、恋愛漫画を描いていたんです。でも自分でも合わないなというのは感じていて。照れ隠しでギャグ寄りになっていくうちに、ギャグ漫画を描いてみたいなと思うようになりました。そこからだんだん今の作風に近づいていった感じです。
――恋愛漫画を描いておられた頃も、今のような画風だったのですか。
和山 いえ、昔はもっと少女漫画チックな絵を描いていました。でも、古屋兎丸先生の漫画を読んで衝撃を受けて、そのまま古屋先生の絵柄を真似して、土台から変えていきました。
ギャグに関しては、野中英次先生の『魁!!クロマティ高校』にかなりの影響を受けています。
シリアスな絵柄で低いテンション
――ギャグ漫画というと突飛なキャラクターが出てきたり、唐突な行動をしたりするイメージもあります。端正な絵柄で、テンションの低いキャラクターが繰り広げる日常にフォーカスすることで笑いを生み出すやり方は、これまでのギャグ漫画ではなかった手法だと思います。どのようにご自身の世界を構築されたのですか。
和山 ギャグというよりはコメディを意識して描いているので、ギャグ漫画とは呼べないかもしれません。そもそも私にはギャグ漫画を描く才能はないと、だいぶ前に諦めています。よくわからないネームを描いて編集者さんの苦笑いを何度も見ていくうちに、もうダメだと思いました。海でゴキブリがサーフィンをして最後空中で爆発するネームで「怖いです」と言われたり。根本的にギャグの描き方が分かっていなかったんです。そんな時に『魁!!クロマティ高校』を読んで「シリアスな絵柄で低いテンションでも、ギャグ漫画は描ける」ということを教えていただいた気がして、「こういう漫画が描きたい」と目指すようになりました。それに加えて、友達との会話で面白かったことや、ズレを感じたことを覚えておいて、それらをこねくり回して必死に引きずり出している感じです。