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江戸川乱歩長編『白髪鬼』では、不貞をはたらき夫以外の子どもを身籠もった悪妻がこっそりと嬰児を始末する。復讐鬼となった夫は情夫と悪妻に復讐を誓い、監禁した悪妻に腐乱した嬰児の遺体を見せつけ、発狂させるのだ。
白山のホルマリン漬け嬰児騒動を思うと、ふと『白髪鬼』を思い出した。
湯島の情交
文京区湯島は戦前から三業地としてさかえた花街だった。三業地とは料理屋・芸者置屋・待合の3種の営業が許可されているエリアをさし、芸者と男たちが遊ぶ街であった。
現在もラブホテルが蝟集するエリア、渋谷円山町、上野、鶯谷、といった所は昔、三業地で芸者が行き交っていた名残である。ここ湯島も多くのラブホテルがいまも営業中だ。
私たちがラブホテル街を取材していると、若いOLと還暦を過ぎた上司、といった男女がラブホテルから出て来た。男はうつむき加減、むしろ女のほうが堂々としている。ラブホテルに入る前の女は恥ずかしそうに下を向いているが、ベッドで欲望を全開にさせた後は幸福感で堂々としているのだろう。
そろそろ文京区の旅も終わりに近づいてきた。
私たちは文京区一の高さを誇る音羽の講談社社屋で、同社の社員と久々の世間話に時を忘れる。
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