文春オンライン

「もっとも大事なのは僕の元気」草彅剛が語る「徳川慶喜を演じる“秘訣”」

note

 そうなると、僕はカメレオンのように変化しますからね。自然と環境に染まって、求められる役になれるんです。若いころからいつもそういう感じでした。歌手としてでも役者としてでも、よくも悪くもすぐ感化されるというか。おだてられたときなんかは、すぐ調子に乗って「いいんじゃないの? いいんじゃないの?」みたいな(笑)。そんないい加減さも、この仕事ではプラスに働いているのかもしれません。

 僕は歌手としてとか、役者としてとか、職種を意識しながら仕事をしていません。お芝居の練習や、歌唱法の特別なレッスンも受けたことはありません。歌を歌いながらバラエティ番組にも出演していて、もともとがいろいろとごちゃ混ぜにして続けてきたから。

 反対に、それが自分の強みでもあると思っています。歌を歌っているのか、お芝居をやっているのか、いったい何なんだろうと感じることもありますが、でもいろいろ混じっているからいいんじゃないかな、と。

ADVERTISEMENT

 そもそもお芝居には正解がないですから。あんまり難しく考えないで演じることを楽しんでいます。

もっとも大事なのは僕の元気

 撮影は、朝の9時から夜中まで続くこともあります。あっ、これは文句ではないですよ(笑)。丁寧に丁寧に、丁寧を重ねて撮っています。いい作品を作り上げているのだから仕方のないことです。といいながら、終わったら、僕はその瞬間に走って帰りますけどね(笑)。それでもみんなで作り上げていく過程はすごく楽しい。一瞬一瞬を逃さないように、チーム全員が一丸となって撮影が進んでいます。

 台本があっても現場の雰囲気で台詞や方向性が変わることもあるし、もう、みんなで一生懸命に作り上げている。いかにいい人間ドラマを描けるか。やっぱりそこに全員一人ひとりの思いがあって。作る人も演じる人も僕も、それだけを考えてやっています。

 だからこそ、もっとも大事なのは僕の元気。早朝からの撮影でも、現場はスタッフみんなの活気があふれていて、撮る気満々なんですよ。そこに僕が「眠いよ~」といったていたらくでいると、その場の雰囲気に合うお芝居はできません。

 とにかく元気でいること、そのための体調管理が大切。もう、それだけ。それさえあれば、あとは現場でやるしかない。細かいことはいっていられない。めいっぱいみんなの力を借りて、すべて受け入れられる自分でいよう、そんな心がけです。