「サービスたぬきもありますから」と嬉しい一言
こちらは冷たい生麺の上にゴマダレのかかった豚バラ肉がどさっとのり、きゅうりの千切りとたぬき、そしてねぎが添えられて、ラー油がひと回しかけてある。なんとも涼し気な一杯である。
ひと口豚バラ肉を食べてみるとこちらも柔らかく甘みを感じる。出汁つゆであっさり煮込んだそうである。「濃い味にするとそばと喧嘩してバランスが悪くなる」という。冷たいそばつゆとゴマダレがいい塩梅で、合間にきゅうりをパクっと食べて、かりっとしたたぬきの食感が時折り口中に広がって行く。これで「500円はぎりぎりの値段設定」というのがよくわかる。緊急事態宣言がなければこれで一杯やりたいところだ。叶う時が来るのだろうか。
「サービスたぬきもありますから、追いたぬきもおすすめですよ」と宮田店長。嬉しいじゃないですか。
梅島の「雪国」の夏オシは冷し系そばと…
梅島の「雪国」に前回訪問したのは去年の10月である。当時、店主の山田勇さんは売り上げ減に四苦八苦。熟成返しと出汁の香りが立つ先代のつゆの味を守りつつ、換気やビニールシートによるコロナ対策を万全に営業していたのだが、コロナ前の数字には程遠いと嘆いていた。コロナ禍2年目の夏、山田店主はどうされているか心配になり7月に入り訪問してみた。
梅島駅改札から歩いて10秒で「雪国」に到着する。立地はすこぶるよい。山田店主が元気に迎えてくれた。
しかし、開口一番、「店前のパチンコ屋さんが閉店して、ますます人が減っています」と状況は厳しいようだ。店の売り上げは、2020年は前年同月比で3-4割減が続いていたが、年末にかけて徐々に上向いていた。しかし、2021年の年初の緊急事態宣言で一気に減少し、その後解除すればやや戻し、また4月に発令されて減少するというのを繰り返しているという。
「この夏の緊急事態宣言は、相当厳しいのではないか。廃業か継続か常に考えています。もちろん、味の追求は怠りませんよ」と山田店主は悔しい思いを隠さない。
そんな夏に向けて、今年は冷しのメニューに注力していると山田さんはいう。