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「新・冷やし系そば」を食べ比べ 「しぶそば」「清水や」「雪国」で見つけた“厳しい夏”を乗り切る秘策とは?

2021/07/20
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冷しむじなそば(410円)にカリッとした春菊天をトッピング

「冷しのメニューを入口にも貼っています」というので、もう一度外に見に行くと、「冷かけ・冷しわかめ・冷したぬき・冷しむじな・冷しきつね・冷し山菜」の6つのメニューが並んだPOPが貼られていた。さっそく「冷しむじなそば」(410円)に春菊天(70円)を追加して注文してみた。

「今年の夏は冷しに注力する」と山田店主

 待つこと2分、どんぶりが登場した。たぬきが隠れてしまったが、春菊天ときつねものった清楚な姿だ。つゆをひと口。やや甘めの返しが十分に感じられる滋味深い冷やつゆである。この冷やつゆは岐阜の名店「更科」の冷したぬきのつゆに少しだけ似ていると思う。「雪国」ではそばは更科、藪、田舎を選べるが、店主が推薦する藪にしてみた。冷やつゆと藪の相性はなかなかよい。カリッとした春菊天とたぬきを食べてつゆを飲み、きつねをかじってまたそばをすする。しみじみと旨いと思う。

冷しむじなそばに春菊天をトッピング

 冷かけ用のつゆは一番だし+二番だし+返しで作るという。もり・ざる用のつゆは一番だし+みりん+返しで作り方を変えている。温かいものも入れれば3種類のつゆを作っているというから驚きである。

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つゆは3種類作っている

あたたかいつゆに冷たいそば…「つけ天そば」もうまい

 そんな話をしていたら、今年の夏は「冷し系」だけでなく「つけ天そば」(400円)もチャレンジしてみようと思っているというので、追加で注文してみることにした。

「つけ天そば」はあたたかいかけつゆ、冷たいそば、それに天ぷらを併せた一品である。あたたかいつゆと冷たいそばの組み合わせはなかなかうまい。てんぷらをつゆに入れて油を利かせると更にうまいと思う。「あつもりそば」や「セットメニュー」もあり、いつも何を頼むか悩んでしまう「雪国」だが、また1つラインナップが増えるのは嬉しい限りである。

「閉店30分前からは、天ぷらが余っていたら(廃棄するのはもったいないので)無料で差し上げますから、どうぞ声かけてください」とのことである。はやく売り上げの回復が訪れることを期待するばかりである。山田店主がんばって。

「つけ天そば」も夏にはよい

 さて、立ち食いそば大衆そば店で2021年の夏を乗り切るメニューを幾つか食べてみた。やはり、ポイントは「冷やし系」に「豚バラ肉」を使って「つけ蕎麦」にしたり、「冷しゃぶ」にしたり、また、天ぷらを「つけ天」でさっぱり食べられるように工夫していることである。新しいメニューに出会えることを楽しみにこの夏を乗り切ろうと思う。あと脱線だが個人的には中野ブロードウェイ地下の「デイリーチコ」の「和風冷しラーメン」(330円)も外せない。

写真=坂崎 仁紀

INFORMATION

「しぶそば溝の口店」
住所:神奈川県川崎市高津区溝口2-1-1(駅構内)
営業時間:7:00~20:00(日祝19:00)
定休日:なし

「清水や」
住所:東京都台東区台東1-1-15
営業時間:6:00~18:30
定休日:日・祝

「雪国」
住所:東京都足立区梅島1-12-7
営業時間:月~金 6:30~18:00
     土 6:30~17:00
定休日:日祝(3連休の土)


 

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