7月19日に藤井聡太王位・棋聖が19歳を迎えた。14歳2ヵ月でプロデビューして以降、棋力を向上させながら数々の記録を塗り替える歩みは止まらない。

 つい先日は、第92期ヒューリック杯棋聖戦で渡辺明名人を3連勝でくだし、18歳11ヵ月の若さでタイトル最年少防衛。タイトル獲得3期により、最年少で九段昇段を果たしたばかり。今後、藤井がどのような活躍をするか、記録を打ち立てるか、興味は尽きない。

筆者の目前で「初防衛」を達成した藤井聡太棋聖 写真提供:日本将棋連盟

四段昇段の平均年齢から8年も早い藤井

 19歳というが、そもそも10代で棋士になるのは容易ではない。それは、現在でも藤井が現役棋士で2番目に若い(現役最年少は伊藤匠四段)ことでもうかがえる。

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 本稿では、藤井や棋士にまつわるデータを紹介していこう。古い時代のデータは、はっきりしないものが多いため、ここでは加藤一二三九段以降の棋士番号のある棋士を対象とする。

 加藤の棋士番号は64。今年4月に四段昇段(プロデビュー)した高田明浩四段は、棋士番号が328である。加藤から高田までの265人のうち、19歳未満で四段昇段した棋士は50人。20歳未満と範囲を広げても79人だ。

 また、棋士の四段昇段時の平均年齢は、調べたところ、およそ22歳2ヵ月だった。将棋界全体で見ると、10代で四段昇段すれば平均よりも早いのだ。藤井が四段に昇段した14歳2ヵ月という年齢は、平均から8年早いことになる。通常なら14歳は奨励会の2、3年目でプロを目指していたり、試験を受けたりする年齢だ。その時点で棋士になっていること自体が規格外であり、さらに19歳になる前の九段昇段も驚異的というほかない。

 こんなデータもある。1962年11月生まれの中村修九段は、中学2年の1976年に中学生名人戦で優勝し、同年に奨励会に入会する。そのころ、同年4月生まれの谷川浩司九段が1976年12月に14歳8ヵ月の若さで四段昇段した。その後、中村は1980年7月に17歳7ヵ月で四段昇段し、当時の最年少棋士となっている。中村の昇進はかなり早いのだが、それに輪をかけて谷川の昇段ペースが早すぎるわけだ。

 中学生棋士がいかに傑出した存在かわかる。