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大型トラックが折り重なり、乗用車は田んぼに……

 それから2晩が明けた7月17日の早朝、私は現場を訪れた。アンダーパスには、近くの駐車場から流されてきた複数の大型トラックが折り重なっていた。重量のある大型トラックが20台以上流されたというのだから、水の勢いがうかがい知れる。

 道路上から流されたであろう乗用車が、近くの田んぼに落ちていた。パッと見ただけで5、6台はあるだろうか。濁流は田んぼを経て、再び可児川へと戻っていった。

大型トラックがアンダーパスの上に折り重なっていた(2010年7月17日撮影) ©鹿取茂雄
田んぼまで流された乗用車(2010年7月17日撮影) ©鹿取茂雄
八百津町には土砂崩れの傷跡が色濃く残っていた(2010年7月17日撮影) ©鹿取茂雄

 その後、由里さんの車は可児川で見つかったが、由里さんを含めお二人の方が今もなお、見つかっていない。

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 駅へ家族を迎えに行くというありふれた日常。可児川は、平常時の水の流れは少なく、氾濫して一気に濁流が押し寄せてくることなど、想像するのも難しかった。しかし、想像を超える自然の猛威は、日常を一瞬にして奪い去った。あまりにも残酷で、いつ自分の身に降りかかってもおかしくない惨事だけに、このときのことは私の胸にずっと残り続けていた。

行方不明者の捜索活動は続いている

 それから7年近くが過ぎた2017年6月、私は偶然開いたSNSで、行方不明者のご家族とボランティアの方が今も捜索活動を続けていることを知った。私はたまらず、参加を申し出た。

 当日、河川敷に集まったのは10名ほど。その中には、行方不明となっている細田由里さんの夫・細田昭彦さんの姿もあった。

豪雨の2日後、可児川の濁流の中ではトラックが横たわっていた(2010年7月17日撮影) ©鹿取茂雄

 昭彦さんから、当時のお話を聞いた。あの日の19時54分、由里さんから電話がかかってきたという。水があふれてきた、流されちゃう。その声だけが聞こえて、電話は切れてしまった。昭彦さんも急いで現地に駆けつけたが、由里さんは見つからなかった。

「まさか、ここまで見つからないなんて、あの時は思いもしなかった。今でも警察署から着信があると『見つかったのか』と思って、ドキッとする」