三崎氏はこうして捻出した裏金をメディア社社長室の金庫に現金で保管し、株式や暗号資産への投資や、個人的な借入金の返済などに充てていた。
18年3月、三崎氏は東京・原宿にアンテナショップ「FABIUS cafe」を開店し、利用者の生の声を聞く場を設けた。とはいうものの、インターネット通販で大成功を収めた同氏の“主戦場”はやはり、インスタグラムやツイッターなどのSNSを利用したインターネット上での情報発信だ。ツイッターでは海外での豪遊や競走馬の落札などセレブぶりを見せつけるだけでなく、森友学園事件に絡む佐川宣寿・国税庁長官(当時)の処遇を厳しく批判。ツイッターのフォロワー数は約5万人に達した。
民放のバラエティ番組やニュース番組も、わずか2年間でメディア社の売上高を19倍に押し上げた三崎氏を「若きイケメン創業社長」と持て囃し、頻繁に登場させた。同氏も民放側のお手軽で型通りの要望に気軽に応え、自身のイメージアップに十二分に活用した。
「公文書偽造するやつが長官の国税局に、そんな偉そうなこといわれたくない」
絶好調の業績を背景に著名人の仲間入りを果たした三崎氏だったが、その人生は突如として暗転する。18年8月、三崎氏は自身のSNS上で「東京国税局(課税第2部資料調査第1課)から調査の連絡を受けた」と公表した。関係者によると、料調は飯尾氏の関係先の税務調査でメディア社の所得隠しの実態を把握、実地調査(関連先に乗り込んで行う調査)に乗り出したという。三崎氏は同月29日、国税局の姿勢をツイッターでこう非難している。
「国税局は人の命さえも課税材料にするのか? 祖父母の体調が悪く、仕送りをしていたことで『祖父母の体調が悪いようだけど、認めなければ調査にいく、体調が悪化するかもしれないな』と脅された 当然、前期と予定納税あわせて20億円は税金を納めている 全部記録済み」
「そもそも公文書偽造するやつが長官の国税局に、そんな偉そうなこといわれたくない まずは自分のところの佐川長官の責任をとらせるべき 国税局長官は公文書偽造しても許され、企業は人の命まで言及される 数十億納税して、この仕打ちはやってられない 若い優秀な人が海外に逃げる意味を考えるべき」(原文ママ)
国税当局を非難してから4カ月後の18年12月30日、三崎氏は「Good Bye JAPAN」と題するツイートで、「転出」にチェック印を入れた「住民異動届」の写真をアップした。その翌日には地中海の小国、マルタ共和国に向かう旅客機内での自撮り写真をアップ。さらに19年2月12日の逮捕の5日前には、マルタ共和国に移住したとツイートした。こうした三崎氏の一連の行動について、国税関係者が解説する。