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2021/07/22

source : 文春新書

genre : ニュース, 社会, 経済, 国際, 働き方, ヘルス, 読書

「お金しか信用できなかった。お金だけが味方だ。お金は私の最終的な希望なんだ。だから、自分でお金を貯めるしかない。80歳まで生きるとして計算すると、3億円くらいあればいいんじゃないか。3億円貯めよう」(自伝より)

 それからはさらに徹底した節約を心掛ける一方、AVの出演料だけでなく、株取引で成功していた投資家など様々なルートから受け取った「お小遣い」、さらには飲み会に参加することでもらえる数万円やタクシー代などの現金収入を貯め続け、実際に3億円貯めた。頭の中は不安とカネに完全に支配されていたという。

料調は「接待業」と認定

 個人事業主として、大手AVプロダクション「ティーパワーズ」(東京都品川区)と業務委託契約を交わし、活動に応じた報酬を受け取る里美さんには、確定申告の経験が全くなかった。その理由について彼女は、税務調査後に提出した「異議申し立ての理由書」の中でこう述べている。

「所属事務所の経理担当者から『10%の源泉所得税を徴収しているから、敢えて申告の必要はない』と聞かされたので、確定申告書は提出していません。私が使った費用などの領収書類は、ティーパワーズの社長が買い取ってくれていたので、過去の領収書等は所持していません」

 源泉所得税を徴収されて、経理担当者に「申告の必要はない」と言われていても、里美さんが個人事業主である以上、確定申告はもちろん必須だ。領収書の類も自身で保存し、事業収入から必要経費を差し引いて自身で確定申告するか、領収書などを税理士に渡して処理を依頼すれば済む。だが、彼女にはそうした知識が全く欠けていた。時々、撮影現場でスタッフなどから「年1回、申告しなければいけない」と耳にしていた里美さんが3億円貯めたあと、知人に「所得って申告しなきゃいけないの? したらどうなるの?」と尋ねると、「税金は自分の意思で申告するもので、申告したら今の貯金の半分くらいは税金として持っていかれるだろうね」と聞かされ、真っ青になったという。

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