そして14年4月、恐れていた事態がついに現実となる。念願の3億円を貯めて、川崎市内のアパートから東京都目黒区内の賃貸マンションに引っ越していた里美さんを、料調(編集部注:国税局の資料調査課)の実査官4人が訪ねてきたのだ。同時刻にはティーパワーズに3人、千葉県内の実家に2人の実査官が来訪。倒産していた以前の所属事務所の社長にも反面調査(対象の相手先などに対する調査)が及んだ。
AV出演料以外の里美さんの収入について、料調は「知人や特定の個人からの紹介で『接待業』を反復継続的に行い、対価を得た」と認定していた。国税当局が規定する接待業とは、どんな職業なのか。関係者が解説する。
「特定の客や客のグループに対して、飲食行為に伴う通常のサービスを提供するだけでなく、それを超える会話やサービスを提供する人たちを指します。要するに売春業、つまりコールガールです。料調は、里美さんが複数の会社経営者らと一定期間契約を結び、彼らが顧客を接待する際のコールガールとして派遣されていたと認定したのです。1990年前後に、複数の証券会社が産油国ブルネイの王族を接待したあと、当時売れっ子だった複数のAV女優を宿泊先のホテルに派遣して“売春接待”させていましたが、それに類する行為の報酬と見做したのでしょう」
事情聴取中のショックから過呼吸症候群に
里美さんに対する料調の事情聴取は約1週間、休みなく一日7~9時間続けられた。事情聴取の終了後に彼女が提出した手書きメモ(4行目の途中までが里美さんの文字で、それ以降の7行分は担当のT税理士の代筆とみられる)には、聴取した料調の実査官の態度がいかに尊大で高圧的だったのかが記されている。