7月26日に行われた卓球の新種目、混合ダブルスでは、水谷準(32)・伊藤美誠(20)ペアが最終ゲームまでもつれる接戦の末に、中国の許昕(31)・劉詩雯(30)ペアに逆転勝ちし、金メダルを獲得。また、女子シングルスでは、伊藤選手が銅メダルを獲得しました。そして、8月1日から行われる女子団体戦でのメダルも有力視されています。
コロナ禍、直接見に行くことはできずとも、テレビ観戦を心待ちにしている方は多いでしょう。試合の解説の中には、ここに注目すると面白いという“聞きどころ”があります。そんな“聞きどころ”をまとめているのが、世界卓球の解説でおなじみの宮﨑義仁氏による『世界卓球解説者が教える卓球観戦の極意』(ポプラ社)です。同書から一部抜粋して、テレビで10倍卓球を楽しむ方法を紹介します。(全2回の1回目/#2を読む)
テレビで10倍卓球を楽しむ方法
卓球の試合がテレビで放送されることが年々増えてきている。
年初の全日本選手権、ジャパンオープン、世界選手権、そしてオリンピック。さらには先日開幕したTリーグも含め、テレビで卓球を観る機会はよりいっそう多くなるだろう。
私も解説という形で多く出演させてもらっている。テレビ観戦の場合は、試合の解説を聞きながら楽しむのだが、ここに注目すると面白いというポイントがあるので、いくつか紹介していこう。
まず、ベンチの監督のもとにはマイクが置いてあって、ゲーム間の選手へのアドバイス内容を放送では聞き取ることができる。監督はこういう風に考えていて、選手にこんなことを言っているのか、というのが分かるので、非常に興味深いだろう。
また、同じ監督でも、選手によってアドバイスの仕方は全然違う。
一人でじっくり戦術を考えたい選手もいるし、監督に「話す」ことによって頭が整理される、という選手もいる。選手一人ひとりに合った適切な声かけを行っているのだ。
もちろん戦術のみならず、気迫を高めるような「心理面」のアドバイスもしている。
卓球は面白い。これは胸を張って言える。もちろんトップの選手達の激しい攻防を観るのも面白い。そして自分でラケットを握ってプレーをするのもとても面白い。それが競技レベルで、回転もスピードも自在に操れるようになればもっともっと面白い。
私が思う一番の卓球の面白さ。それはメンタルだ。解説では、選手の心理状態から技術的なことに発展させて言及することを心掛けている。
「今この選手はこういう状況で、こう考えていて、ここで追い詰められている。だから次に出すのは絶対ロングサーブですよ」という具合だ。
なぜこんな予言者のような解説ができるのかというと、卓球は技術中心の競技ではなく、心を読み合う競技だからだ。「9-6でリードをしていて、一本取られて9-7になった。次一本取られて9-8になったらタイムアウトですね」と言って、実際にその状況になると、本当に選手はタイムアウトを取る。