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《東京五輪》実は解説者の声に大きなヒントがあった? 世界卓球・解説者が教える「テレビで10倍卓球を楽しむ方法」

『世界卓球解説者が教える卓球観戦の極意』より#1

2021/07/31
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 そこからもう一度集中力を取り戻すのは相当に難しいのだ。追いかける方が、追いついて、そのまま追い抜いていく。そういう試合の方が圧倒的に多い。

 過去の試合を観てもらえば、選手の表情がみるみる変わっていくのが分かるだろう。

 リオオリンピックの男子団体戦決勝。

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 2番の水谷隼選手が中国の許昕選手とフルゲームを戦い、許昕選手が10-7とリードをした。そこで許昕選手が一本ミスをして10-8となった。

 このとき許昕選手は、「ああ、ミスってしまった」といったまだ余裕のある表情だったのだが、もう一本取られて10-9になった瞬間、顔面蒼白といった感じだった。そこからは水谷選手が5点連取で大逆転勝利を収めた。

©iStock.com

 卓球はたった40㎜の小さなボールを扱う競技だ。それもあり、ほんの少しの心理状態の変化でも、如実にプレーに表れて、一気に形勢が逆転するという事態が非常に多い。リードをしている選手は、リードしているときこそ緊張を緩めず、ゲームを取るまで一気に駆け抜ける気持ちでいかなければならない。

逆転を可能にする「きっかけ」の作り方

 形勢が変わる事態は、心理的な要素だけではなく、技術的な要素もきっかけとなりうる。

 ドライブ主体でやっていたところに、急にスマッシュを打つ。ずっと普通のトスのサービスだったのを、急にハイトス(2~3mくらい高くボールを上げる)のサービスを出す。あるいはバックサーブを出す。そういった今までにやっていなかった技を出すことで、試合の流れが変わることがある。

 劣勢に立たされている選手が、このまま同じことをやっていては負けてしまう局面を、なんとかして打開するための「きっかけ」を自らで作り出していく。

 そういった「きっかけ」を作り出すのがうまいのは、伊藤選手だろう。「みまパンチ」や「逆チキータ」、あるいは通常よりもボールを薄くとらえた「みまチキ」とか、そういった独自の技術の引き出しがとても多い。

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