Q 衆院選、自民党が単独過半数を獲得しました。圧勝の理由は?
10月22日に投開票が行われた衆議院選挙では、自民党が単独過半数を獲得。安倍内閣の支持率は高くないのに、なぜ圧勝したのでしょうか。(10代・男性・高校生)
A 理由は2つ。1つは野党の完敗。もう1つは小選挙区制特有の現象です。
理由は2つ。ひとつは自民党が勝ったのではなく、野党が負けたこと。もうひとつは小選挙区制特有の現象だということです。
今回の総選挙で小選挙区での自民党の得票率は約48%なのに対し、議席全体の75%を獲得しました。
野党がまとまって対抗することができなかったため、自民党が漁夫の利を占めたところが、いくつもあります。逆に言えば、野党統一候補を立てていたら、自民党は、これほど勝てなかったのです。
もうひとつは小選挙区制特有の現象です。小選挙区で当選する候補はひとりだけ。少しでも得票が多い候補が当選するという形なので、自民党は多数の候補者を当選させることができました。
もし、これが完全比例代表の選挙制だったら、自民党は過半数も取れなかったはずです。
日本の選挙制度は、かつては中選挙区制。ひとつの選挙区から複数が当選する仕組みでした。
「これだと、なかなか政権交代が起きない。小選挙区制にすれば、与党から少しの票が野党に移るだけで、野党が勝利し、政権交代が起きやすくなるのではないか」
こう考えて、現在の選挙制度が誕生しました。事実、この選挙制度で自民党から民主党への政権交代が起きました。つまり小選挙区とは、絶対多数の得票率を持っていなくても、相対多数なら議席で絶対多数を獲得できる仕組みです。政権交代を起きやすくし、いったん政権交代が実現したら安定多数の議席を与えることで政治を安定させる仕組みです。敢えて、この制度にしたのです。
しかし、この選挙制度が機能するためには、しっかりとした野党の存在が不可欠です。野党がしっかりしていなければ、結局、内閣支持率がそれほど高くなくても与党が勝ち続けるのです。
野党がしっかりして、与党が「次の選挙で負けるかも知れない」と心配になれば、与党政治にも緊張感が生まれることでしょう。
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