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特集観る将棋、読む将棋

2021/07/24

3連続タイトル戦で実現した羽生ー佐藤戦

 21世紀になってから行われたタイトル戦のダブルヘッダーは羽生―佐藤康光九段戦のみで、まず01年度の王将戦と棋王戦があるが、次に行われた05年の勝負がすさまじい。

 05年度の羽生―佐藤戦は棋聖戦、王位戦、王座戦という3連続タイトル戦同一カードが実現した。それぞれ棋聖戦が決着する前に王位戦が、王位戦が決着する前に王座戦が始まっている。

 結果は棋聖戦が3勝2敗で佐藤の勝ち、王位戦は4勝3敗で羽生の勝ち、王座戦は3勝0敗で羽生の勝ち。それぞれが持っているタイトルを防衛して、このトリプルヘッダーは終わった。さらに王座戦の後に王将戦でも羽生―佐藤が実現し(4勝3敗で羽生勝ち)、00年の羽生―谷川戦に並ぶ単年度同一カード23局(羽生の14勝9敗)を記録した。

 だが、佐藤の凄いのはその翌年だ。まず棋聖戦で鈴木大介九段を3勝0敗で下して防衛を果たすと、続く王位戦では再び羽生に挑戦。王座戦でも挑戦権を獲得し、こちらは2年連続のダブルヘッダーとなった。そして竜王戦では渡辺明竜王に、王将戦で羽生に、棋王戦では森内俊之棋王に挑むことになった。タイトル戦5棋戦連続挑戦は史上初の記録である。竜王戦と王将戦ではフルセットの末に敗れたが、棋王戦は最終局で勝ち、自身初の棋王を獲得した。06年度の佐藤は86対局、57勝であり、この86局は01年以降の年度対局数としては最多だ。

新棋王は「自画自賛の手です」と語っていた

 佐藤が棋王を奪取したその日、筆者は先輩記者の方々と一緒の酒席にいたが、なんとその場に新棋王がやってきた。当時の佐藤はいわゆる現在の「丸太を振り回す」棋風に転換しつつある頃だったが、棋王奪取につながった図の▲4七角を「自画自賛の手です」と語っていたことが思い出される。

第32期棋王戦第5局より

 今回の豊島―藤井戦は、2006年の羽生―佐藤戦以来のタイトル戦ダブルヘッダーとなる。単なる連戦ではなくダブルヘッダーを戦うのは、それぞれの番勝負の進行度合いも影響してくるであろう。理想はすべての対局に全力投球だが、一方の棋戦でスコアが偏るとそこで優先順位をつけたくなるのではと考えるのが外野の野次馬だ。

 幸いなことに、筆者は観戦記者としてこのダブルヘッダー対局を間近で見る機会に恵まれた。現在の棋界の最高峰ともいうべき戦いの魅力を、余すところなくファンの方々にお伝えできればと思う。

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