『ぼく モグラ キツネ 馬』(チャーリー・マッケジー 著/川村元気 訳)飛鳥新社

 コロナ禍の英米で医療従事者を支えたと話題になり、累計250万部を超す大ヒットを記録した絵本が、日本でもブレイク中だ。小さな男の子の「ぼく」と、モグラ、キツネ、馬との思索の旅を、魅力的なイラストと短文で叙情的に描く。

「翻訳を川村元気さんにお願いしたのは、本書の訳はただ日本語として優れているだけではなく、ビジュアルとのマッチングが大切だと考えたからです。『世界から猫が消えたなら』などで知られるミリオンセラー作家であり、数々のヒット作を手掛ける映画プロデューサーでもある川村さんなら、ビジュアルと文字を巧みに組み合わせられると思いました」(担当編集者の矢島和郎さん)

 原著の“The Boy”を大胆に「ぼく」とするなど、訳者のセンスが光る。

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「日常生活であまり使わない『少年』と訳すと、原書が持つフレンドリーな雰囲気が失われてしまう。日本語の一人称による共感の力を活かした翻訳はさすがでした。私が一番好きなのは、“So much beauty we need to look after.”の『とてもきれいなものを、みのがすな』という訳。自分と世界を肯定する大切さなど、本書のテーマが詰まっている気がします」(矢島さん)

 読者層は30代、40代の女性中心。原著は老若男女に読まれており、日本でも高齢の読者に届き始めている。人気は加速しそう。

2021年3月発売。初版4万部。現在5刷13万1000部(電子含む)

ぼく モグラ キツネ 馬

チャーリー・マッケジー ,川村元気

飛鳥新社

2021年3月18日 発売