外国出身力士は入門の枠自体が非常に少ない
実は、大相撲には野球などで言うところの「外国人枠」が存在します。
大相撲では力士が必ず「部屋」に所属し、コーチ役である親方と衣食住を共にしているのですが、外国出身力士は部屋に1名しか所属することができません。なお、仮に日本国籍を取得しても枠は増えません。例外として、所属部屋の閉鎖などで移籍するケースがあり、この場合は外国出身力士が所属する部屋に移籍することも可能です。そのため、外国出身力士は入門の枠自体が非常に少ないのです。
なお、この「外国人枠」については元々無制限で、一つの例としては1975年当時、朝日山部屋には6人のトンガ人力士が所属していました。しかし親方の逝去に伴い先代親方の夫人と後継親方との間で確執が起き、全員廃業するといういわゆる「トンガ騒動」がありました。
その後1992年には1部屋2名以内、大相撲全体で40名に変更され、2002年からは1部屋1名までに、さらに2010年には外国人枠から外国出身力士枠へと変更されることになりました。1992年にはハワイ出身力士として小錦の他にも曙が台頭してきており、また2002年には朝青龍、旭鷲山、旭天鵬といったモンゴル人力士が数多く頭角を現してきていました。2010年は現役中に引退を見据えて日本国籍を取得する外国人力士が増えてきた背景もあり、このような措置が取られたと思われます。
外国人力士が強い理由は「優秀で枠が限られているため」
外国人力士・外国出身力士の活躍は大相撲をけん引してきましたが、小錦が大関に、曙が横綱になり、そしてモンゴル人力士が上位に昇進したこともあり、そのままでは上位のほとんどを外国出身力士が独占する可能性が出てきたため、人気低迷のリスクを考慮したのではないでしょうか。
また外国出身力士の枠を使わない部屋もありますが、現在外国出身力士を採用したい相撲部屋の多くには既に外国出身力士が在籍しているという事情があり、現時点では新しく相撲部屋が誕生したり、既存の外国出身力士が引退するといったことが起きない限り、入門すら難しい状態です。
前述の通り外国出身力士は基本的に優秀ですが、外国人枠の兼ね合いで入門を待たされることがあるほど、外国出身力士は相撲部屋に行き届いています。そのため、優秀な力士でなければ入門さえ叶わない。ただでさえ優秀な才能が集まるのに、枠が少ないためになおさら優秀でなければいけないのです。
「なぜ外国人力士は強いのか?」に端的に答えると、「外国出身力士は優秀で、しかも枠が限られているため」という回答になります。