外国出身力士が上位を席巻していたのは過去の話
ただ「外国人力士が強い」というイメージはあるかもしれませんが、実はそのイメージが崩れつつあります。
先ほど幕内に11名の外国出身力士がいると話しましたが、さらにトップを見ると白鵬と鶴竜は横綱ですが、2人とも30代半ばという大ベテランです。この下では元大関の照ノ富士が大関復帰を目指し活躍していますが、1991年生まれの29歳と中堅からベテランに差し掛かってきています。
幕内というのはサッカーで言うところのJ1とJ2が混在しているようなもので、優勝は幕内での勝ち星の多さを競って決めるのですが、上位16名+数名でリーグ戦を行うような形になり、その他の力士達は自分の地位に近い力士と対戦することになります。ただし、終盤戦になると下位の力士の中で成績の優秀な者は上位との対戦が組まれます。
つまり、幕内は横綱・大関・関脇・小結・前頭と地位が分かれていますが、前頭の中でも上位に定着している力士と下位の力士では力が大きく違うということです。少し話が長くなりましたが、2021年1月現在、外国出身力士の中で上位総当たりの地位にいる力士は白鵬・鶴竜・照ノ富士にベテランの栃ノ心と玉鷲を加えて5名。なお、この場所で栃ノ心と玉鷲は負け越しています。
ここからわかるのは、上位総当たりの番付にいる大多数のトップ力士が日本出身力士だということです。ですから、外国出身力士が上位を席巻していたのは実は過去の話なのです。
ピラミッドの頂点のレベルでは日本出身力士に分がある
外国出身力士として上位に残っているのはベテランの白鵬・鶴竜、そして中堅の照ノ富士という構成です。つまり、20歳前後の外国出身力士の若手が今のところ、かつてほど上位で活躍していないのは重要なポイントだと思います。
外国出身力士の中で十両以上になれる者は相対的に多く、彼らは優秀なのですが、ピラミッドの頂点のレベルになると日本出身力士に分がある。しかもその傾向は続いていくことが予想されるわけです。
原因として考えられるのは、最近大相撲の世界に入ってくる外国出身力士はモンゴル人偏重の傾向がある点です。かつては高見山や小錦、曙や武蔵丸といったハワイ勢が一大勢力だった時代がありましたが、武蔵丸の甥っ子である武蔵国が引退してからハワイ勢はゼロになりました。また、琴欧洲や把瑠都といった名力士を輩出した東欧出身力士も今では激減し、現役では栃ノ心、碧山、あとは三段目の舛東欧(2021年3月31日に引退)の3名のみで、しかも全員30代という状況。