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「伸び悩み説も…」NiziUが世界的グループになるために必要な“変身”とは?〈K-POPの“本場”韓国人評論家が分析〉

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「NCT127」から学ぶべき点とは?

 彼らは、韓国、日本、中国、アメリカ、カナダと多様な国籍のメンバーが所属しているというアドバンテージはあるが、その上で、メンバー数も制限のない「NCT」という母体グループを持ち、その中から、コンセプトごとに活動メンバーを選抜している。その中でも核となる「NCT127」は、世界的ブレイクを果たし、世界10カ国を巡るコンサートツアーを2019年に実現し、ビルボード「200」でも5位にランクインした経歴を持つ。

 彼らは、これまでのグループのように、一つのアイデンティティで世界的な人気を謳歌することはできなくなったことを踏まえ、様々なスタイルを生み出しているのだ。

 つまり、NiziUはさらなる飛躍のため、多彩な羽色を持つ「八色鳥」にならなければならない。

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 ソロ歌手ではなく、メンバーの多いガールズグループが人気を集めるようになったのは、ファンの多様な趣向を満足させるためだ。その利点を活用して、男性だけでなく女性にもよりアピールして、アジアや欧州、北米を同時に相手にし、各地域の文化的趣向に合わせ、その時々に多彩に“変身”することを試みなければならない。

「仮想と現実」も行き来する時代に

 いま人気急上昇中のSM所属のガールズグループ、aespaは、実在する4人のメンバーにそれぞれのアバターがいて、アバターを加えた“8人のメンバー”で活動している。もはやオンラインとオフライン、現実と仮想を行き来するアイドルを目指している。

「aespa」の実在する4人のメンバーとそれぞれのアバター(aespa公式YouTubeチャンネルより)

 私が冒頭で、NiziUが「東アジアのアナログな感性にとどまっている」と評価される恐れについて指摘したのは、ここまでみてきた地域性や仮想空間までをも意識したK-POPスターたちの“新たな潮流”によるものだ。

 J.Y.Parkは7月、「Nizi Project Season 2」の記者会見で、次のように語っている。

「デビュー直後の2、3年間は、その基盤を置いている地域でファンとコミュニケーションをとって、ファンと触れ合い、ファン層をしっかり築いていくことが大切だ。その意味でNiziUもデビュー後、日本での活動を重点的に行なってきた」

 NiziUが日本に基盤を築いた後、世界に羽ばたくタイミングまでに、彼女たちは単に羨望の対象ではなく、世界の多様な若者たちの喜怒哀楽を代弁する世界観を確立していかなければならない。

 そのためにはNiziUというグループを超えて、各メンバーが自ら活き活きと動き回り、全世界のファンとコミュニケーションを取ることが必要なのだ。

(翻訳:金敬哲)

「伸び悩み説も…」NiziUが世界的グループになるために必要な“変身”とは?〈K-POPの“本場”韓国人評論家が分析〉

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