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日本は男女共同参画社会を謳いながら、その実、女性経営幹部比率ランキングでは世界ワースト1(国際会計事務所グラントソントン18年調べ)。ニュージーランド44%、オーストラリア42%に遥か遠く及ばない。世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数ランキング(17年版)でも114位と目を覆うような結果。中田は東京五輪でメダル獲得を目指しつつ、裏テーマに幾つかの目標を掲げていた。その1つがバレーを通して選手の人間性を磨き、女性管理職として通用する人材を社会に送り出したいということだ。中田が真剣な眼差しで言う。
エース・黒後愛が元気を失っていた
「全日本というのはトップオブトップ。才能を秘めた彼女たちに、バレー以外の能力も開花させてやりたい。岩坂がいい見本。大人しくて人の陰に隠れていたような選手が、今や背中を見せチームを引っ張っている。心から頼もしいと思う。人は環境によって変わる。だから上に立つ人間は、若い人に出来るだけ多くのチャンスを作ってやることが大事」
今期のVリーグ期間中、20歳の黒後(くろご)愛に会った。元気がないので「どうした?」と声をかけるなり「久美さん不足です」と、まるでビタミン不足のように言った。黒後も中田に日本のエースに育てられた。