昨年1400万人を突破した東京の人口
これまでの東京は一人勝ちの状態だった。
日本の人口は2008年に1億2808万人を超えた後、減少局面に入った。にもかかわらず、東京都の人口は一貫して増え続けてきた。
しかも、この10年ほどは伸びに加速度がついた状態で、5年に1度の国勢調査によると、2010年10月1日から5年間は35万5854人(2.70%)の増加だったが、2015年10月1日からの5年間では54万9425人(4.07%)も増えていた。
都道府県で人口が最も少ないのは、2021年7月1日時点で54万9941人の鳥取県だ。言うなれば、東京都はこの5年間で鳥取県の人口をまるまる呑み込んだ格好になる。
都内でも人口が増えたのは23区が中心で、この5年間で47万1794人(5.09%)の増となった。
こうして一極集中が続いた東京都の人口は、2020年5月1日時点で1400万2973人になった。初めて1400万人を超えたのだ。
この1年余で約4万5000人も減少している
ところが、その直後に異変が起きた。
いきなり人口減少に転じて、わずか1カ月で1300万人台に転落した。その後も減少基調は続き、2021年6月1日時点の人口は1395万7977人となっている。この1年余で約4万5000人も減ったことになる。
こうした人口減少は驚きをもって受け止められた。それが「東京大脱出」論の背景となったと見られる。
原因として語られたのは、新型コロナの感染拡大だ。
国内で初めての感染者が見つかったのは2020年1月。2月末には安倍晋三首相(当時)が全国一斉の臨時休校を要請し、3月には小池百合子・東京都知事が実施不可能な都市封鎖(ロックダウン)を口にして社会不安を煽った。政府は4月7日、第1回目の緊急事態宣言を東京都などに出した。
職を失って帰郷する人がいた。大学がオンライン授業になり、アパートを引き払って実家で受講する学生もいた。もちろん、一家で地方移住する人もいた。