気をつけなければならないのは、コロナ禍で日本から引き揚げた外国人が多数いたことである。都が毎年1月1日に集計している外国人人口によると、2020年1月1日から1年間で3万人以上減った。中国約1万1560人減、韓国約6000人減、アメリカ約950人減、ドイツ約520人減――などといった具合である。これが東京の人口減少に、少なからず影響した。
2021年も実は「転入超過」のワケ
国内に目を戻そう。東京都から他の道府県への「脱出的状況」がどれくらい進んだかは、転入者と転出者の差で分かる。転入の方が多ければ「転入超過」で東京の人口が増える。転出が勝れば「転出超過」となって人口が減る。
人口1400万人を達成した2020年5月1日以降どのような動きになってきたのか。東京都がまとめた「住民基本台帳人口移動報告」によると、同月は1000人台の転出超過となって人口が減り、6月は逆に1000人台の転入超過となって人口が増えた。7~12月は毎月2000~4000人台もの転出超過が続き、月ごとに人口減少が進んだ。それでも2020年の1年間を通してだと、3万1125人の転入超過になった。「地方への移住が増えた」と言われたのに、実際には3万人を超える転入増になっていたのである。
秘密は3月の人口流入だ。
東京の人口移動には月ごとの波がある。就職や転勤、進学の節目となる3月には毎年、多くの人が流れ込む。2020年も4万人以上の転入超過となった。7月から転出超過が続いても、最終的に転入超過になるほどの規模だった。
この傾向は2021年も同じで、1月から2月にかけては2000~3000人台の転出超過となったが、3月は2万2000人以上の転入超過に転じた。4月も9000人近い転入超過で、転出超過に戻ったのは5月になってからだ。しかも264人だった。ウイルスに対する社会の恐怖心に連動している面があるのかもしれない。
結局、今年になっても1~5月の合計では転入超過となっている。
10歳〜24歳の若者が東京に集っている
これが人口増減に直結するわけではないのがややこしいところだ。出生者数、死亡者数、外国人の来日・帰国者数などを加えて計算しなければならない。だからこそ今でも1400万人を割り込んだままになっている。
ところで、東京都の「住民基本台帳人口移動報告」を分析すると、どのような人が転入・転出しているかが透けて見える。コロナ禍前の2018年と2020年の転入・転出超過数をそれぞれ5歳ごとの年代別で比べてみた。