苦手の巨人相手にどう戦えばいいのか
強みと弱点を押さえたところで、いよいよ、阪神ファンが最も気になる(心配する)課題を検討してみたい。それはこの問いに尽きよう。
「どうすれば巨人に勝てるのか?」
質問は、以下である。
「他球団から見て、今年の阪神なら巨人にこう戦えばいいのに?(なんでそれができてないの?)というポイントあれば教えてください」
広島・チンさん兄は、端的に答えを教えてくださった。
「苦手意識の克服」
そうだ、その通りだ。阪神は、過去9年連続、巨人に勝ち越していない。苦手意識が刷り込まれている。遺伝子レベルにまで刻まれていると言っていい。
かなりの重度の苦手意識だ。はたして克服できるものなのか?
ミシマ・タイガースのヘッドコーチを務めつつ、実は中日ファンの須賀くんの意見はどうだろう。
「打力も投手力も互角以上だと思いますので、あとはエラー数(巨人34 阪神65)の差を埋めることかと。あとチェンは中日時代巨人をよく抑えていました!(現在ケガ離脱のようですが……)」
問題は、そのエラーが減らないことなんだよね。で、チェンで言えば、それは全盛期のときの話なわけで。10年前のことだしね……。
うーん、やはり、巨人に勝つ策などないのか?
いや、諦めてはいけない。普段戦わないパ・リーグだからこその気づきもあるだろう。オリックス・西村さんの回答を見てみたい。
「今年の巨人はすぐに投手を変えます。先発にたくさん球を投げさせて早い段階で降板させ、中継ぎ陣を打ち込んだらよいのではないでしょうか」
なるほど、これは重要だ。実際、強い時期の阪神――交流戦の最後、楽天に三連勝できたころ――は、この戦い方ができていた。楽天の勝ち頭・ルーキー早川を攻略した試合も、ゼロで終わった初回は16球、2回22球、3回には27球を投げさせ先制。この時点で65球の球数を投げさせている。その先に、5回3失点での降板があったわけだ。
苦手な相手にこそ、こうした戦い方を今一度、徹底したい。
加えて、さらに安心できるとっておきの方法があれば、なおいいのだが。藁をもつかむ思いで、松さんの意見を見るとする。
「先日のベイと巨人の試合、ピッチャー戸郷でバッターが柴田のとき、ツーストライクになったところで原がピッチャーを大江に変えたんだよね。で、普通に犠牲フライ打たれ、その後も失点。
今年の原は特に『策士策に溺れる』感があるので、そこを力でねじ伏せると、流れを一気に掴める気がします。
あるいは、原以上の奇策で勝負するか。オープナー藤浪とか、代打藤浪とか」
これはなんとも奥深い。確かに今年の原監督は奇策を好む。6月20日の対阪神戦でも、バッター北條にツーストライクを取った後、ピッチャーを左腕・高梨から右腕・鍵谷へ交代。阪神は、代打を送るといった奇策返しを講じず、北條は三振。同点のチャンスを逃し、試合を落としてしまった。昨年来、野手を投手に送り込むなど、原監督が採る奇策に、まんまとやられている。
後半戦も、当然、奇策は「ある」と思っておくほうがいいだろう。とすれば、こちらから先手を打つほうがいいのではないか。その選択肢として、代打・藤浪はあり、なのでは? なにせ、あの大谷翔平選手の同期なわけで。今シーズンの序盤、先発した試合で見事なホームランを放ってもいるし。
いずれにせよ、今シーズンの勢いの鍵は、藤浪にあるようだ。
先発であれ、中継ぎであれ、代打であれ、藤浪を使いつづけること。もしかすると、現在のチームの不振は、藤浪を後半戦早々、二軍に落としたことにあるのかもしれない。
阪神優勝に向けて“とっておきの秘策”
矢野監督、並びに阪神ファンの皆さん、どうだろうか? 優勝への道すじが見えてきた。そんな感想を抱いたのは私だけではありますまい。
えっ、まだ不安ですと!?
実は、そういう方もいるかと思い、とっておきの秘策を考えておいた。それがこれだ。
「残りシーズン、阪神が勝てなかったとしても、他球団に巨人を叩いてもらえば大丈夫!」
つまり、徹底的に他力にすがろうという策である。
何を消極的な、と思われようか。実力で巨人に勝ってこそ、セ・リーグの覇者。そうした声には、静かに申し上げたい。
優勝すればいいのです。
というわけで、セ・リーグ3球団の意見を順に確かめていこう。
まずは、中日・須賀くん。
「一昨年、昨年と9月は勝ち越している中日。今年もこの流れに乗って勝ちます!(勢いで阪神にも勝ったらすみません)」
よし、中日は期待できそうだ。名古屋では相変わらず勝てない阪神ではあるが、巨人を倒してくれさえすれば、十分である。
次に、横浜・松さん。
「今日、ベイスターズは夏恒例のホームラン3連発を達成したので、そろそろ調子が上がってくるかと思います。
あと、ハマスタがオリンピックで使えなかった間、東京ドームをホームとして使わせてもらったので、おそらく知ってはいけないドームの秘密を知ることもできたはず。それをぜひ生かしてほしいです。
真面目に答えると、菅野の調子をいかに上がらないようにするかかなぁ。下手なきっかけを与えて復調させないようにするのがポイントかと」
知ってはいけないドームの秘密。これは大いに期待できそうだ。その秘密を最大限生かして、巨人に勝ちまくってほしい。
最後に、広島・チンさん兄に登場願おう。
「佐々岡監督じゃ勝ち越しは無理。
勝ち負け関係なく若手育成と達観してます」
……。
結論。やっぱり、自力をつけないことには優勝はむずかしい――。
ところでチンさんのメールには、「余談として以下のメッセージもありました」と、お義兄さんの言葉が添えられていた。
「後半に入って阪神の勢いなくなってきてるから優勝危ういかもしれんな……」
勢いのなさはすでに公然の事実のよう……。
がんばれ、タイガース!
※ご協力いただいた皆さま、ありがとうございました。自球団にまったく関係のないことにお知恵やアイデアをいただき、恐れ入るのみです。せめて、優勝という形でご期待にお応えしたく思うのですが。
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