――義昭公は史実の木像を見ても、ちょっとふくよかなイメージがありますよね。
滝藤 僕も九州国立博物館まで足を運んでその像を見たんですけど、正直、全然僕ではないなとは思いましたよ(笑)。まあでも、誰も義昭に会ったことはないわけですからね。
――細すぎず、太すぎず、バランスのいい筋肉。パーソナルトレーニングで鍛えてきて、コロナ禍による自粛期間中は自宅で毎日、部位を変えながら鍛えていったとか。
滝藤 あの期間は暇でしたからね。懸垂の器具を買って、子供たちと「誰が一番できるか」って競争していました。ダンベルも買いましたね。きょうは背中、きょうは腹筋、胸とか決めて。子供たちと毎日遊びながらやっていましたよ。大変な時期でしたが、あれはあれで楽しかったなぁ。
この世界で生き残っていくには、ギャップは「必要不可欠」
――食事面もかなり気をつけているんですか?
滝藤 朝は焼き鮭、みそ汁、キウイフルーツ。昼はステーキにブロッコリー、夜は刺身を少々。でも僕、炭水化物大好きなんですよ。ラーメン、焼きそば、ピザ、お好み焼きとかもう大好物なので、体を作らなくていい時はめちゃくちゃ食べます。
――そこまでストイックにやっているわけじゃない、と。
滝藤 そうです。役づくりに関しても(ストイックにやってそうだと)言われること、よくあるんです。でもトレーニングも、仕事も、全然ストイックじゃないですよ。
――失礼ですが、滝藤さんにバッキバキのイメージはなかったです。いい意味でのギャップがありました。
滝藤 ギャップって男の魅力の1つだと思うんです。特に、この世界で生き残っていくには、ギャップは必要不可欠だと僕は感じています。だからファッションだったり、趣味の植物収集だったり、俳優だけじゃない一面を見せていくことも、僕にとっては大切なのかなって。
――プライベートの話を隠すこともありませんよね。
滝藤 もちろん俳優ですから、私生活を隠したいという方もいらっしゃると思います。でも僕の場合はいろんなものを武器にしていくことで、“人間・滝藤賢一”に興味を持ってもらえるところってあると思うんです。そういう意味でもギャップは必要。それを信じて試行錯誤しながら頑張っているところです(笑)。
――8月20日に公開となる「孤狼の血LEVEL2」では広島県警本部・捜査一課管理官、嵯峨大輔を演じています。前作から松坂桃李演じる刑事の日岡秀一とは因縁があるわけですが、再会シーンはかなり意外でした。憎い相手に対する意外な一手も、“ギャップ人”らしいな、と。
滝藤 どうでしょうね…。ただ単に“憎っくき相手との再会”という芝居もいいでしょうけど、嵯峨という人間の可能性を広く持っていたいと思うんです。「このキャラクターは、こういうことをしない」ということを逆にやりたい。その方が人間らしい気がする。嵯峨としては(前作からの)3年間、「どうやってコイツをつぶしてやろうか」と楽しみに待っていたんじゃないかと思うんです。言うなれば初恋の相手のように、待ち焦がれていたというか。そう思って日岡の顔を見たら…思わずあんな感じになっていました。別に僕のプランでもなんでもないんです。