「みんなの熱量に引っ張られてしまいました」
セリフを覚えていって、相手の顔を見たときにどんなリアクションになるか。こういうシリーズものは既に歴史があるというか、一度、役を経験しているので、そこから生まれるものを信じています。だからあのときは、「会いたかったよ」ってなっちゃった(笑)。
――映画の公式サイトでも「再会のシーンでは憎しみなのか怒りなのか、自分でもどんな感情が湧くのか楽しみでしたが、やっと会えたという喜びからかまさかの恋心を抱くという不思議な現象が起きました」というコメントを寄せています。
滝藤 日岡を貶めようとすると、持ち上げたほうがいいってことですよね。自分が食らった以上の苦しみを与えたい。そう考えたら、持ち上げて泳がしておいて、一気に落とす、と。
――作中ではそんな“恋心”を抱く日岡に対して、段々とヒートアップして血管を浮き上がらせていく嵯峨がいました。
滝藤 日岡を演じた松坂桃李くん、他にも鈴木亮平さん、中村獅童さん…みんなの熱量に引っ張られてしまいました。正直、もっとクールにやりたかったんです。みんなが放ってくる熱量を飄々とかわしていきたかったんですけど、冷静さを失いましたね(笑)。
「一番は家族。家族を守るために仕事をする」
――家庭の充実があって仕事の充実がある。プライベートを隠さない滝藤さんを眺めていると、そんなふうにも映ります。
滝藤 家族が第一、家族がすべてです。これ以上、大切なものは何もないですね。もちろん家族を食わせていかなきゃいけないから仕事はするんですけど。
(仕事に対しては)そういう考えに変わりつつあります。以前は、誰よりも仕事をやって、「いつ寝てんの?」「毎日テレビで見るよ」ってくらいじゃないとほかの俳優さんたちと戦えないと思っていた。それが強みでもあったと思うんですけど、やっぱり人間ですからね…。限界がありました(笑)。
――考えを変えるきっかけは何だったんですか?
滝藤 新型コロナウイルスの影響で休みを多くいただくようになって、ゆっくり考える時間ができました。もしかして、「仕事は遊ぶためにするんじゃないか?」って。仕事に生きがいを感じられれば尚良しですよね。でも、一番は家族。この家族を守りたいから仕事をする。そう考えると、何か楽になったんです。良いのか悪いのかは分かりませんけど。