窓ガラスから侵入する植物、水浸しの床……
まず講堂らしき建物に足を踏み入れると、窓ガラスだけでなく、壁やドア、調度品など、ありとあらゆる物がメチャクチャに破壊されていた。内部にも落書きが目立ち、壁には焼け焦げた跡もあった。当然ながら電灯などつかないため、昼間であっても薄暗い。
瓦礫が散乱し、水没してグチャグチャになっている通路を慎重に進むと、信者が集まっていた部屋らしき広い空間があった。ここも落書きと破壊が尽くされているが、この宗教の宗紋だろうか、半円状の放射模様のステンドグラスが独特な輝きを放っていた。
割れた窓ガラスから植物が侵入し、破壊された神棚、水浸しの床とあいまって不気味な雰囲気が醸し出されているが、ステンドグラスがあるからなのか、部屋の中はどこか神々しくもあった。
降霊殿に残された“天女”
講堂を出ると、隣には宿坊があった。こちらも破壊され、窓も壁も穴だらけになっている。3階建てで、数十人は寝泊りできる大きさだ。
さらに藪をかき分け、階段の上に現れたのが、降霊殿だ。祈りを捧げるための礼拝所のような造りをしていて、100人ぐらいは収容できるだろう。正面はステージのようになっている。当時はここで、教祖の説法でも行われていたのだろうか。天井には天女をあしらった立派な絵が描かれている。だが残念なことに、この降霊殿にも落書きが目立っていた。
宮崎さんはこの日も“不法侵入禁止”と書かれた貼り紙を持参され、入口などに掲示していた。敷地内をひとしきりご案内いただいたあと、私は宮崎さんにお話を聞いた。