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「在宅勤務」で絶対にやってはいけないこと「“いらない上司”の烙印を押されてリモート会議に呼ばれなくなることも…」

『修羅場のケーススタディ 令和を生き抜く中間管理職のため30問』より#1

2021/08/23

CASE2

極めて仲の悪いライバル2人。どちらかを後継者に選ばなくてはならないが……

 支店長として実績を上げ、栄転のような形で本社に異動することになった自分だが、次期支店長を誰にするかで頭を抱えている。候補であるA君とB君の能力は伯仲しているが、あえて競わせていたこともあり、2人は極めて仲が悪い。どうやら支店内もA君派とB君派で真っ二つになっているようだ。 このままではどちらを選んでも問題が起こりそうで不安だ……。

Q.どちらを取っても前途多難な中、どういうポリシーで後継者を選ぶべきか?

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後継者選びは「大リーグ方式」で?

 後継者候補を競わせること自体は悪いことではありません。むしろ必要なプロセスだと言えるでしょう。ただ、行き過ぎた対立が後に禍根を残すことになるのも事実です。

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 後継者を選ぶにあたり、一番明確な視点は「これまでの業績」でしょう。ただし、この発想は極めて危険です。

 むしろ基準にすべきは「5年後、10年後、自社を発展させるために必要な能力を持っているか」であり、過去の栄光は二の次にすべきです。

 このことは、「大リーグと日本野球の違い」を例に取ると、わかりやすいと思います。

 少々前の話ですが、2009年の大リーグ・ワールドシリーズで、ニューヨーク・ヤンキースの松井秀喜選手が大活躍したことを覚えてらっしゃる方も多いでしょう。ヤンキースはワールドシリーズを制し、松井選手はワールドシリーズMVPに選ばれました。

 しかし、松井選手はなんと、その直後にヤンキースとの契約を打ち切られているのです。日本で言えば、日本シリーズで大活躍した選手を直後に解雇するようなもので、まずあり得ないでしょう。

 これは「大リーグがシビアだから」という話ではなく、発想そのものが違うのです。日本では「今年度の実績」に重きを置いて翌年の契約交渉が行われますが、大リーグでは「未来の活躍の可能性」を評価します。松井選手は功労者ではあっても、来年以降の活躍の可能性を考えると、別の選手との契約を優先すべきと判断したのでしょう。

 どちらのやり方にも一長一短ありますが、少なくとも後継者選びにおいては「過去の実績」ではなく、 「未来の活躍の可能性」を評価すべきなのです。 そのためには、5年、10年先を見据えた事業戦略、そこに求められるリーダー像をしっかりと定義しておくことが、極めて重要です。