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実力が両極端だった中国勢

 なかでも目を引いたのは、中国からの参加者だ。最終的にトップ9に3人入ったが、いずれもオーディション後半までデビュー圏内を維持しそうな水準だ。

 たとえば、個人でパフォーマンスをおこなったスー・ルイチーは、圧倒的な実力を見せつけた。ダンスをしながらひとりで歌い続けたが、最初から最後までダンスもヴォーカルも極めて安定している。驚くほどのその実力は、トップ9の4位とされた。

 4人組で登場したなかのひとりであるシェン・シャオティンも、十分な実力を見せつけた。彼女はこの番組のシグナル曲「O.O.O (Over & Over & Over)」のMVで、トレーナーから中国勢のセンターに選ばれていたが、それが間違いではないことを証明した。ともにパフォーマンスを行った他のメンバーの実力が乏しいなか、韓国語のラップも難なくこなしトップ9の3位となった(※動画の茶髪)。

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 ただ、中国勢の実力は両極端に感じられたのも事実だ。トップ9候補者6人の能力はたしかに高いが、低水準の参加者が相対的に多いとも感じられた。

 しかも、とくにそれが目立ったのは中国版48グループの現役メンバー4人だった。たとえば、広州・GNZ48メンバーである一卵性双生児のリャン姉妹は、唯一ネタ的な存在として扱われた。彼女たちの愛嬌は大受けしていたが、やはりその実力は大きく劣る。

 日本のAKB48との提携関係は解消されているが、中国の48グループは実力水準でも日本をトレースしているかのようだ。

 見方を変えれば、こうした両極端な結果は中国のポピュラー音楽状況の反映とも言える。日本と韓国それぞれから強い影響を受けており、まだ独自の表現スタイルが確立されていない。

 愛嬌を軸にキャラクターを売ってきた日本のアイドルに対し、ダンスやヴォーカルなどパフォーマンスで勝負を続けるK-POP──その両者の要素がまだ併存する状況を感じさせる内容だった。