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ハロプロ、48グループの不在…日中韓オーディション番組でわかった「アイドル戦国時代」の儚さ《『ガルプラ』でも韓国勢リード》

2021/08/20
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 ティファニーの「表現力」とソンミの「オーラ」は、近い要素を指し示している。それらはオーディエンスを惹きつける魅力であり、一言で表せば“スター性”だ。

スター性を見抜くオーディエンスの投票

 K-POPのオーディション番組では、ダンスやヴォーカルの能力と同じくらいスター性が重視される。昨年日本で行われた「Nizi Project」でも、主催のJYPエンタテインメントは、ダンス・ヴォーカル・人柄とともに、スター性を4つの評価基準のうちのひとつとしていた。たとえばNiziUのアヤカは、実力よりもこの資質を買われてメンバーに選ばれた。

 その逆に、オーディション番組には実力はあるもののスター性の乏しい存在がかならず登場する。練習ではとても上手だが、パフォーマンスが型にハマりすぎていてダイナミズムを失い、ステージで輝かないタイプだ。言い方を換えれば「上手くなりすぎている」状態だ。

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 伸びしろ(将来性)を感じさせないそうした参加者は、オーディション中盤までは確実に残るが、たいていは殻を破れずに消えていく。今回もそうした存在がすでに複数確認されている。

『GIRLS PLANET999』公式インスタグラムより

 人気に直結するスター性は、言葉で説明できても計量化することは簡単ではない概念だ。歴史的に美の基準が一定ではなく絶対的でもないように、スター性の質も時代によってコロコロ変わる。それを確実に掴むことは簡単ではない。

 だが、この「スター性」を感覚的に見抜き、リードする存在がいる。ファンでありオーディエンスだ。よって、その民意というリソースを活用して、この「スター性」を発掘・構築することが、もっとも効率の良い手段となる。

 では、そのための具体的な方法論とはなにか?

 それが投票だ。K-POPオーディション番組は、オーディエンスの投票によって勝ち残る者を決め、盛り上がりを拡大して続いてきた。今回の『GP999』も、1月にローンチしたばかりのK-POPファン向けスマートフォンアプリ・UNIVERSEで投票が行われる予定だ。