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ハロプロ、48グループの不在…日中韓オーディション番組でわかった「アイドル戦国時代」の儚さ《『ガルプラ』でも韓国勢リード》

2021/08/20
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 オーディエンスは参加者のスター性を見抜き、一推しメンバーを見つけて応援していく。その熱量がSNSでヴァイラルに拡がって熱狂を巻き起こし、参加者を鼓舞するのと同時に番組を盛り上げていく。00年代前半の『アメリカン・アイドル』から続いてきた視聴者参加型のオーディション番組は、このように練られた構造だ(「K-POPオーディション番組は音楽のメジャーリーグを目指す」2021年8月6日 )。

番組の試金石は日韓中の政治的衝突

 『GP999』のオーディションは、8月20日の第3回放送から本格化する。3セル(9人)が1チームとなり、同じ課題曲で競うミッションが始まる予定だ。参加者が面識を得てから間もないこのバトルは、チームワークがその内容を大きく左右する。そして、その結果として半数近くが足切りされる。

 『プデュ』シリーズの前例を踏まえると、その後はポジション別(ヴォーカル・ダンス・ラップ)のバトル、レコーディングしたオリジナル曲のバトル、そして最終審査へと向かうと予想される。

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 注目されるのは、この新たなオーディション番組でどのようなK-POPのイデオロギーが伝えられるかだろう。冒頭で説明したように、番組コンセプトは「K-POP=世界共通言語」だ。だが、日本と中国から多く参加したこの企画がどれほど円滑に進むかは、始まってみなければわからない。

 トラブルが生じる可能性ももちろん当然ある。日韓中3ヵ国の文化的な距離は縮まったが、政治的にはこの10年ほどともに良好とは言えない関係が続いている。結果、K-POPでも小さくない炎上劇が少なからず生じている。それもあって、制作側はこの番組でいっさい国旗を使用しないなど、政治的な衝突を防止することに神経を尖らせている。

 ただ、それでも番組の注目度が上がる中盤以降には、各国の排外主義者などが騒ぎ出す可能性は高い。避けられないその事態に直面したとき、K-POPのイデオロギーはそれをどのように乗り越え、そしてデビューグループを成功させるか──それこそが世界共通言語としての試金石かもしれない。

ハロプロ、48グループの不在…日中韓オーディション番組でわかった「アイドル戦国時代」の儚さ《『ガルプラ』でも韓国勢リード》

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