強姦しながら刺し続ける30分
「山地は何度も有希さんをナイフで刺し続けたと供述しています。その途中でほとんど意識を消失した彼女のズボンと下着を脱がし、強姦しながらも刺し続けたそうです。やがて彼は目的を遂げると、証拠隠滅のために自分が出した精液をトイレットペーパーで拭いてトイレに流し、瀕死の状態の有希さんを奥の部屋のベッドの上に放り投げました」
そこに運悪く真美さんが帰ってきてしまったのだ。ドアを開錠する音で玄関脇に身を潜めた山地は、彼女が室内に入ると手で口を塞(ふさ)ぎ、いきなり胸にナイフを突き立てた。その場に倒れこんだ真美さんの足を持ち、胸にナイフが刺さったままの状態で奥の部屋の入口まで引きずる。そしてナイフを引き抜くと、苦しむ彼女の姿に興奮を覚え、姉が横たわるベッドの脇まで移動して、執拗に切りつけながら強姦したのだった。記者は続ける。
「いったんベランダに出て煙草を吸った山地は室内に戻ると、まず有希さんの後頭部を摑んで上半身を起こし、心臓めがけて深くナイフを突き刺しました。続いて仰向けに倒れている真美さんの心臓にもナイフを突き立て、止めを刺しています」
時間にして30分ほど。山地のことをなにも知らぬ無辜(むこ)の姉妹は無残に殺されたのである。
「母親を殺したときのことが楽しくて、忘れられなかった」
続いて山地は、部屋のカーペットに火をつけて証拠隠滅を図る。有希さんのジッポライターで点火し、そのまま自分のポケットに入れた。さらに室内を物色し、床の上にあった有希さんの小銭入れと、封筒のなかに入っていた真美さんの給料から5000円を抜き取った。そして、見付けたカードキーで玄関を施錠すると階段で2階まで下り、隣接するビルの敷地を伝って逃走した。
「母親を殺したときのことが楽しくて、忘れられなかった」
部屋の火災報知器が午前3時過ぎに作動したことで、同マンションの住人が40×号室の火災に気付き、119番に通報。駆け付けた消防隊が室内で姉妹の遺体を発見したことから、事件はすぐに発覚する。
この時期、同マンションにいた山地のゴト師仲間を知る人物は語る。
「事件のあった日の朝には、彼らが共同生活をしていた6階の部屋にも、刑事が聞き込みにやってきました。そこで、『最近このあたりでよく見かける、身長170センチメートルくらいで天然パーマ、眼鏡をかけたリュック姿の男を知らないか』と聞かれています。それはまさに山地の姿そのもので、ゴト師の元締めは『大変なことをしてくれた』と頭を抱えたそうです」