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 そんな華々しい研究の数々を支えたのは巨額の民間資金だ。メディアラボはその資金を外部から賄っていることでもユニークな研究機関だが、そのスポンサーの一人にとんでもない人物が紛れ込んでいたことが明らかになるに及び、伊藤氏のキャリアは暗転する。

 伊藤氏を辞任に追い込んだのは、スポンサーの故ジェフリー・エプスタイン氏との関係だった。

逮捕されたエプスタイン容疑者 ©getty

少女を囲って自身の性行為の相手をさせていた

 日本ではいまだに聞き覚えのあまりない名前かもしれない。だが、世界的には新型コロナウイルス感染拡大前の一番のニュースはこのエプスタイン氏をめぐる疑惑だったといっても過言ではない。

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 エプスタイン氏は、投資家にして大富豪だが、自らが持つカリブ海の島で18歳未満の少女を囲っては自身の性行為の相手をさせていた疑いで、米連邦捜査局が19年7月、逮捕。最大の余波は、その交友関係のなかにイギリス王室のアンドルー王子までが含まれ、王子と性的行為をさせられたと当時の少女が訴え始めたことだろう。

現場となったカリブ海に浮かぶ島「リトルセントジェームズ島」。エメラルドグリーンの海に囲まれた島には、衛星写真でもはっきりと大邸宅が視認できる。ブルームバーグの報道によると、数々のセレブ達も訪れたとされるこの島は、いま地元民には「乱交島」「小児性愛島」と呼ばれている始末 ©AFLO

アンドルー王子の苦しい言い訳

 アンドルー王子は同年11月、BBCの独占インタビューに答え、疑惑を否定した。だが、そのあまりにお粗末な否定の仕方に、かえって批判は拡大した。

 被害を訴えた女性はアンドルー王子と一緒に踊った際に「汗でベトベトだった」と証言していたが、アンドルー王子は「当時は汗をかけない病気だった」と斜め上から関与を否定。当時は娘と一緒にピザを食べていたなどと苦しい言い訳に終始し、かえって印象を悪くしたうえ、エプスタイン氏との関係にメリットもあったと強調。エプスタイン氏の毒牙にかかった少女らへの言葉は最後までなかった。王子は公務を停止された。

 王子だけではない。ビル・クリントン元大統領、ドナルド・トランプ前大統領、ビル・ゲイツ氏。エプスタイン氏との交友関係が暴かれた著名人は数知れない。メディアでエプスタイン氏との関係が暴露されるたび、著名人が謝罪に追い込まれていった。