1ページ目から読む
3/4ページ目

不安ビジネスと宗教

 冒頭の女の子と、保険に入る人の心境は似ている部分があると思うんだ。

 人の不安に忍び寄ってくるのが商売じゃないですか。保険をはじめ、いろいろある。

 いうなれば“不安ビジネス”だよ。

ADVERTISEMENT

 じゃあそういう不安ビジネスは、何を基にどんなテキストでもって始めたかというと、参考にしたのは宗教でしょう。

 何千年と続く宗教は、不安が人間の弱点だと知っているから、信じる人は救われるという角度から入ってくる。逆にいうと、信じていない人は救われないというね。

 宗教的な手法を、さまざまな業界がそのビジネスに取り入れているんだ。

 やっぱり人間には不安と恐怖というものがあるのでね。そこを突けばお金を出すだろうよ。

 人間の真理のある一面だよ。

洗脳を解いた道場生

 某アイドルグループの大物プロデューサーは、テレビ番組で一般の視聴者を狂わせてしまえば、こっちのもんだみたいなことを言っていた。

 そりゃそうだよね。狂わせてしまえば、どんどんファンが増え、熱狂的になってくるわけだから。宗教とおんなじ。

 俺に言わせれば、宗教は金儲けだから。大物プロデューサーも宗教的なノウハウや搾取のシステムを芸能界というビジネスシーンに持ち込んでいるんだ。

 しかし、俺みたいに無宗教だと教養がないなんて思われがちで、その点は少し悲しい。

 うちの道場生の中に1人、ある宗教をやっていた人がいるんだ。子どものとき、親の影響で。

 でも、お父さんが自殺したりして、家庭が崩壊。彼はそういうことを通り越してから、その宗教をやめた。

 彼いわく、やめるのには信じた期間と同じだけ時間がかかるという。

 でもそれだけの時間をかけて、洗脳を解いたんだ、彼は。

瞬間は勘と愛なり 混迷の時代を生き抜く力』(さくら舎)

「宗教は、商売でもなんでもいいんですけど、人を救うものでは決してない。むしろ壊すもの」と彼は言う。

 たしかにそうだと俺も思う。

 人は恐怖心や不安とどう向き合えばいいのか。

 俺は普段から多くのことは、「たいしたことない」「知ったこっちゃない」と思っている。

 これまでの人生で、みんなが恐怖を感じたり、不安に思う“危険”なことに、わざわざ挑んできた。実際にそういうものにぶつかってきちゃったんで、みんが大変と思っていることも意外と「たいしたことない」って経験でわかっている。

 やっぱりリスクというものに挑んだ体験が少ない人は怖いんじゃないかな。