どうしようもなくのめり込んでしまう趣味を「沼」と呼ぶことが増えている。不倫・ママ活・スピ・推し・タワマン……『沼で溺れてみたけれど』(講談社)では、『浪費図鑑』の編著者でもあるひらりさ氏が様々な「沼」に溺れた女性たちに取材している。

『沼で溺れてみたけれど』から、切実な理由から「女性用風俗」という「沼」に溺れた女性のエピソードを紹介する。(前後編の後編/前編から読む)

“クソ客”になってしまうかもしれない、という恐怖

 女風通いをおおっぴらにはしていないミユキさんだが、信頼できるメンバーだけの女子会などでは、話題に出すこともある。すると、他にも数人は利用者がいたという。

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「セラピストに話を聞いていても、既婚女性が旦那さんとうまくいかなくて……という例は、本当に多いみたいです。あとは処女の子が彼氏にめんどくさいと思われたくないから、とか。もちろん『いろんなイケメンを食べてみたい』とあっけらかんと女風通いをしている人だっています。

 男の人は風俗やキャバクラ通いの話題でコミュニケーションをとったりするけれど、女性は抵抗があるのか、気軽に女風の話をする人は少ないですね」

 ミユキさんは、女風があったからこそ、自分を責める気持ちから距離を置き、肩の力を抜いて暮らせるようになった。だが、万人にすすめるわけではないという。

「なかには、男性セラピスト側が本番を強要してくるケースもあるそうで、そういうリスクもゼロではないし、男性の風俗同様、お客さんのほうからそれを求めるケースもあるみたいですけど、女性のほうが性交渉に関してはリスクが高いですよね。セラピストの定期検査必須をうたっているお店ばかりとはいえ、性病のリスクはある。

 あとは、セラピストにガチ恋……女風用語だと“沼って”しまう人は少なくないです。ホストクラブや女風についての情報交換が行われている掲示板を見ていても、『それ、男女逆ならクソ客と呼ばれるやつでは?』という話はよく飛び交っています。

 自分も“クソ客”になるかもしれないという怖さもあります。お金を払っているにしても搾取になってしまう一面もある。『なにを売ってるのか?』『なにを買っているのか?』はしっかり意識していたいですね」