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参列者の前で父親が語った言葉

 16日に故郷の島で営まれた葬儀では、集まった300人以上の参列者の前で、彼女の父親は気丈に挨拶した。その言葉が耳に残る。

「(娘は)14歳で膠原(こうげん)病を患った後、入院しながら高校に通っていました。一生懸命頑張って、一生懸命生きてきました。それをこういう形で……本当に残念です……」

 それから約1カ月後の05年1月18日、今度は福岡市で大手航空会社の子会社に勤める23歳の女性が殺害される事件が発生した。

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 被害者の名前は福田祥子さん(仮名)。その日の早朝、仕事に向かうため福岡市東区の自宅から、福岡空港に向かっていたところで被害に遭った。地元の記者は説明する。

「午前7時過ぎに新聞配達員が空港近くの公園で遺体を見つけました。遺体は刃物で何箇所も傷つけられていて、死因は失血死。どうも服を脱がされ乱暴されたようで、荷物も持ち去られています」

 子会社とはいえ、被害に遭ったのは大手航空会社の関係者。しかも強盗強姦殺人の可能性があるということで、私はすぐに福岡へ飛んだ。

 現地に着いてまず、遺体発見現場の公園へと向かった。空港にほど近い、大型店舗や倉庫が周囲にあるその公園は、目の前の道路からは遮蔽(しゃへい)物がほとんどなく、丸見えに近い場所だった。ただ、街灯は道路脇に等間隔にあるのみで、早朝の暗い時間帯ならば、走行する車からだと、よほど注意深く見なければ、人の存在に気づくことはないだろう。そのうえ車通りも少なく、人家から離れていることもあり、叫び声なども届かない可能性が高い。

 第一発見者の50代の女性に話を聞いた。