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気絶させ、姦淫

 鈴木は1989年ごろ車で人身事故を起こし、被害弁済のために消費者金融でカネを借りたことをきっかけに、借金をするようになった。後にパチンコやスナック遊びなどの遊興費で、妻に隠れて約800万円の借金を抱えた鈴木は、そのことが発覚すると妻から小遣いを止められ、夫婦生活を拒絶される生活を余儀なくされた。

 そこで04年12月の初旬から、1人歩きの女性を襲って、金品を強奪して生活費などを得たうえ、強姦で性欲を満たそうと考え、車で女性を物色するようになったのである。

 飢えた鈴木の目に、12月12日午後11時半ごろ、友人宅から帰宅しようとする安川奈美さん(仮名)の姿が、飛び込んできた。

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 鈴木は彼女が人気のない公園の前に差しかかったところで、背後から口をふさいだ。そして逃げ出そうとする奈美さんを抱え上げて園内に入ると、彼女の腹の上に馬乗りになり、マフラーの両端を左右に引っ張って気絶させ、姦淫した。

 欲望を遂げた鈴木は、奈美さんの手提げバッグを奪おうと考えたが、自分の顔を相手に見られたことを思い出し、彼女の胸のあたりに馬乗りになると、ふたたびマフラーを使って死亡するまで絞め続けた。そのとき、公園の近くにトラックが停まり、運転手が降りてくる気配があった。慌てた鈴木は逃走し、結果的に彼女のバッグがその場に残されることになったのである。

©️iStock.com

 次の犯行は12月31日の大晦日。前夜に襲う相手を見つけることのできなかった鈴木は、午前7時ごろに北九州市内の駐車場に車を停め、車内から“獲物”を探した。

 そんな鈴木の視界に入ったのが、若々しい赤いフード付きのコートを着てパート先に向かう、大倉聡子さん(仮名)の後ろ姿だった。皮肉なことにその日は雪で、聡子さんはふだん乗っていた自転車を使えず、いつもと違うルートを歩いていた。

 帽子を目深(まぶか)にかぶり、軍手をはめた鈴木は、車内に置いていた刺身包丁をジャンパーの内側に隠し持ち、聡子さんの後を追った。すぐそばまで近づくと、彼女が50歳以上の女性であることが判明したため、強姦を諦めてエナメル製のショルダーバッグを奪うことに方針を変更した。そこで彼が選んだのは、極めて乱暴な手段だった。