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気絶させ、姦淫した元死刑囚・鈴木泰徳の性的異常行動「中学生のころから女性の下着に執着して窃盗」「20代の半ばから強姦モノのビデオを…」

『連続殺人犯』より#13

2021/09/27

source : 文春文庫

genre : ライフ, 読書, 社会

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「命だけは助けて」

 鈴木はいきなり聡子さんの背後から包丁を突き刺したのだ。

「命だけは助けて」と60メートル近く逃げる彼女を執拗に追い、路上に倒れたところに馬乗りで背部や胸部を何度か刺したあと、順手に持った包丁で心臓部分を深く刺して殺害した。そしてバッグを奪い取ると、停めていた自家用車に駆け戻り、現場を後にしたのだった。

 翌年1月18日になると、鈴木は仕事で保冷車を運転するときも、包丁を持参するようになった。午前5時20分ごろ、徒歩で福岡空港へと向かう福田祥子さん(仮名)を移動中に見かけた鈴木は、車をUターンさせて駐車場に停め、包丁を隠し持って尾行した。彼女が公園の前に差しかかったところで、背後から口をふさぎ、面前に包丁を突き付けて園内に引きずり込んだのである。続いて祥子さんの顔面を殴りつけ、馬乗りになって首を絞めながらさらに数回殴りつけた。公園の奥では彼女のセーターを下着ごとたくし上げ、露出した乳房を弄(もてあそ)んだ。ストッキングを引きちぎり、パンティをはぎ取ると彼女の口に押し込み、抵抗できないよう殴りつけた。

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 鈴木は姦淫しようとしたが、前の路上をバイクが通りかかるなどしたため断念。意識を取り戻した祥子さんの背中を包丁で3回刺し、さらに仰向けになった彼女の腹部を2回刺し、財布と携帯電話やCDプレーヤーの入ったバッグを奪って公園から逃走した。

 犯行後は仕事に戻り、その日の配送業務を終えた鈴木は、午前6時半ごろ現場の公園に戻っている。近づいて様子を見たところ、祥子さんの腹部が痙攣(けいれん)していたので、間もなく死亡するだろうと思い、保冷車に乗って立ち去った――。

 3人の女性の命が無残に奪われる様子が、検察官によって淡々と読み上げられると、被告人席の鈴木は手に握りしめた白いハンカチで、時折涙をぬぐった。だが、それが反省によるものかどうかは、疑わしい。

 というのも鈴木は、かかる犯行内容にもかかわらず、聡子さんと祥子さんへの殺意を否認するなど、その後ずっと、公判において悪あがきを続けたからだ。ほかにも奈美さんへの殺害行為、さらには奈美さんと祥子さんへの強姦、強盗の故意についても否認していた。(#14に続く)

連続殺人犯 (文春文庫)

小野一光

文藝春秋

2019年2月8日 発売

気絶させ、姦淫した元死刑囚・鈴木泰徳の性的異常行動「中学生のころから女性の下着に執着して窃盗」「20代の半ばから強姦モノのビデオを…」

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