日本でいちばんややこしい駅は、大阪駅だと思っている。新宿駅や渋谷駅なども複雑極まるが、大阪駅ほどにわかりにくい駅はない。
いきなりこうはじめると、いつも大阪駅を使っている人や、それこそ大阪駅で働いている方々に怒られてしまうかもしれない。「あんたが不慣れなだけでしょう」。確かに、東京在住の筆者が大阪駅を歩く機会は多くない。慣れていないのも事実だ。不慣れが故に迷ってしまう部分もあるだろう。しかし、それにしたってわかりにくい。
「大阪」「梅田」初見殺しダンジョン問題
地上に地下に……と入り組んでいるというのはまだいい。不慣れな人を何より追い詰めるのは、大阪駅という名が単にJRの駅の名に過ぎず、私鉄や地下鉄はほとんど同じ場所にあるのに「梅田」と名乗っているのだ。
改めてここで書くほどのことではないのは百も承知だが、同じ場所にありながら大阪駅と梅田駅(阪神・阪急は正しくは「大阪梅田駅」)という2つの名を持つターミナル。これがややこしさの源泉になっているといっていい。初めての人は絶対に攻略できない、初見殺しの超難度ダンジョンなのである。
ともあれ、とにかくややこしいから大阪駅と梅田駅をしっかり歩いて回るということを避けてきた。逃げてきた。ただでさえ迷路のようなのに、不慣れさも加わればきっと1時間や2時間では足るまい。それにどうせ人もたくさんいるだろうから、まっすぐ歩こうにも難儀するだろう。人波に飲まれているうちに気がつけば目的とはまったく違う場所にぽつんと佇み、ゾーマとの遭遇を待たずに絶望へ……。不慣れな東京人は、大阪駅に対してそんな恐怖すら抱くのである。
「大阪」には何がある?実はシンプルかも…
まあ、いつまでもそんなことを言っていてもはじまらないので、とにかく大阪駅にやってきた。東京から大阪駅に向かうには、まずは新幹線で新大阪に向かう。新大阪からはそのままJR線に乗り換えればあっという間だ。
これまで複雑だとか迷うとかややこしいとか盛んに書いてきたが、こと大阪駅、JRに限っていえば実はそれほどややこしくない。乗り入れている路線は実質2路線だけなのだ。
案内板を見ると、JR宝塚線やJR京都線、JR神戸線、大阪環状線といくつもある。金沢や鳥取に向かう特急列車も発着していて、行き先はもう無数にあるといっていい。ホームは6面11線と壮大そのもので、ホームの真上に大きな屋根がかかっていて駅ビルに囲まれているというその環境もまた、大阪駅を実際以上に壮大に見せている。