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「すぐにでも結婚したい」

拓哉 今すぐにでも結婚したい。寂しい。1人(でいること)が嫌。4、5人くらい子ども(が欲しい)。中1のときに両親、離婚した。親父は酒飲んで、仕事(大工)行かない。手も出す。変なイメージしかない。酒しか飲んでない。今でも話、しようと思わない。だから(つい)反抗してしまう。家には、おとー、おばーと、3人で住んでる。年上のきょうだいが3人いるけど、3人とも連絡ない。

......

拓哉 地元だと、先生・警察より先輩が怖い。上の世代はやばかったみたい。昔はすごかったってよ。いじめもあったし。中学は、学年で10人くらい。幼稚園から中学までの10年、一緒のクラス。あわんかった。○○高に入ったけど、(同じ)中学から(進学したのが、俺)1人で。(中学の)同窓会行くけどおもしろくない。上の世代ともおもしろくない。シカトされたり、見てないふりしたり(されるから)。

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 彼にとって家族との暮らしは落ち着けるものではなかった。家にいると、ことあるごとに父親と衝突した。きょうだいもバラバラに住んでいた。学校も雰囲気があわず、高校に進学したがなじめなかった。高校卒業後に就職したが長続きせず、仕事を転々としてきた。

拓哉 仕事がんばってるつもりなのに、やる気なしと言われるとむかつく。しょっちゅうこんな、(離島で働いてたとき)やる気ないって言われて、離島手当てカットされた。離島では、畑のビニールハウスを作ってた。初めての仕事で、わからなかっただけで、やる気ないって言われた。けど、同じ仕事の先輩がお酒おごってくれて、チューハイ飲んでた。「あんな言われてるけど、辞めんなよー」って、「おまえ辞めたら、近い年いないから、へんな(職場の雰囲気が悪くなる)どー」ってから(励ましてくれた)。

 やがて彼は、地元のヤンキーの先輩たちとつき合うようになった。先輩たちからは、地元の集会所で行われるエイサーの練習に無理やり参加させられた。エイサーというのは、沖縄の伝統舞踊の一つで、その主な活動場所は地元の公民館であった。

拓哉 エイサーは強制だから、エイサーも嫌。(練習)こなかったら、死なされる[暴行を受ける]。先輩、威張ってるのが1番嫌い。(エイサー)我慢してやった。(お酒の)コールは嫌い、ゆっくり話しながら飲みたい。すぐ、つぶれるし......。

 拓哉にとって、地元のヤンキーグループも居心地のいいものではなかった。エイサーを無理強いされるのが面倒だった。そして地元を出た。