8月23日夜。NHKのニュースにアフガニスタンに残る邦人や現地スタッフなどを退避させるための自衛隊機が離陸する様子が映し出されるのを見て、おやっと思った。
この日、韓国では、徐薫・国家安保室長が国会で「アフガニスタンで韓国大使館などに勤めていた現地スタッフとその家族を韓国に移送することを検討している」ことを明らかにしたことが報じられていた(聯合ニュース、8月23日)。
日本の出発のほうが早いのか。その時は極秘に行われていた韓国政府の作戦については知るはずもなく、そんなふうに思った。
その後、韓国では8月26日から27日にかけて現地スタッフとその家族390人が無事に仁川国際空港に到着したことが報じられた。
空港のゲートから出てきたアフガニスタンの人々は身元が分からないようモザイクがかけられていたが、幼い子どもたちが多かった。生まれたばかりの赤ちゃん3名も含め10歳以下の子どもたちが半分近くいたそうで、韓国政府から贈られたぬいぐるみをひしっと掴みながら、体よりも大きなリュックサックを背負っている姿が目を引いた。
一方、日本政府による退避作戦は、邦人ひとりを救出し、最大500人とされた退避希望者をアフガニスタン国内に残したまま事実上の活動期限である27日を迎えた。
韓国の移送計画は、秘密裡にすすめられていた
実は、韓国では8月初めから外交省、国防省、法務省間でアフガニスタンにいる現地スタッフとその家族らを救出する計画を立てていたことが伝えられた。韓国紙記者の話。
「移送計画などについての記者へのバックグラウンドブリーフィング(理解を求めるブリーフィング)は20日にもありました。
外交省は、来週中にオペレーションを開始するので常に待機していてほしいと現地スタッフにeメールで伝え、それを(スタッフらが)受け取ったことも確認済みだとしていました。最大の問題はカブール空港まで安全にどうやってたどり着いてもらうかで、この部分については他国と同じように自力で来てもらわないといけない状況という説明でした。
刻々と状況が変わっていて、当時は他国も自国民や関係者の救出に失敗しており、とにかくなるべく多くの人を助け出したいと話していました。人命に関わることですのでエンバーゴ(情報を公表しないという紳士協定)が敷かれ、もちろん、どこも報じませんでした」