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「大げさは誇張じゃなくて、その人には重大ってこと」「もっとみんな喜んでいい、悲しんでいい」“引き算のできない表現者”ゆっきゅんが目指す“DIVA”の姿

「DIVA Project」始動記念・ゆっきゅんインタビュー#2

2021/09/09

source : 別冊文藝春秋

genre : エンタメ, 芸能, 音楽, ライフスタイル

note

引き算のできない表現者

――ゆっきゅんさんにとって「重大」な価値観を教えてください。

 私の中で「面白いこと」は、すごく大事な基準ですね。

 私は面白いことが好きだし、面白いことしかしたくないし、面白いって言われたいんです。一番不安なのはつまらないことです。コラムなども書けたらすぐに友達に送ります。「これ本当に面白いかな?」って。

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――ゆっきゅんさんが今後目指す「面白さ」とはどんなものでしょうか。

 私は過剰でキャンプなものを面白いと思うんです。だからさりげなくできない、慎ましくなんてならない、「引き算のできない表現者」として徹底的に盛って、面白いことがしたいですね。

 それから、聞いたことがない、見たことがないものってやっぱり面白い。既存の価値観だけでやっているものはつまらないですね。マーケティングだけでできているもの、方程式通りのものには、すごく牙をむいています。

 でも奇をてらいたいわけではなくて、事実が面白い。「DIVA ME」の歌詞にも書きましたが、「真実が最高」なんです。真剣に取り組んでいないものはつまらないですね。冷笑へのアンチテーゼだと思います。

「DIVA ME」は、本当に自分に起きていることを書いています。天井を見ているとか、代引きが払えないというのはただの実話(笑)。自分の気持ちをわかってほしくて書いたわけではないので、逆にこの曲がこんなに普遍性をもって届いていることが本当にうれしいです。私みたいな人はやっぱりいるんだ! と思えました。もっとたくさんの人に聴いてほしいので、今後は「わかりやすく伝える」という壁にもぶつかっていくと思うんですが、噓はつきたくないですね。

 それから、その人固有の切迫が昇華されているものって面白いですよね。切実な気持ちは泣けるバラードにだけあるものではない。「DIVA ME」も私にとっては切実な曲です。

 

「構想26年」は噓のない実感

――改めて、この7年間を振り返ってみていかがでしょう?

 どの部分も、かなり「DIVA Project」につながっている実感があります。やはり「電影と少年CQ」の活動で得られたものはすごく大きいですし、東京でたくさん行ったライブ、見た映画にも影響を受けています。大学や大学院で学んだこともつながっていますね。歴史に敬意を払い、きちんと研究する姿勢が身につきました。何かを発表する時には、絶対に先人がいるから、その人の仕事を見ておくべきだなって。「DIVA ME」を初披露したとき「全てがこれにつながっていたんだ」と全身で感じて、構想26年かかったプロジェクトなんだって本当に思いました。

 全部つながっているとも思うし、やっと始まった気もします。

――最後に、今後の展望をお聞かせください。

「DIVA Project」は私がなけなしにもほどがあるような貯金で、なんとかやっているだけのプロジェクトなんですね。だから活動を継続させていくために、お金をちゃんと稼いでいきたいです。「DIVA ME」のMVはどうにか安っぽくならないように工夫して撮ったんですが、もっと予算がある状態で撮ってみたいですし(笑)。それから、ミニアルバムを制作中です。

 この活動でやりたいことは思いつくだけでも100個はあるので、ひとつひとつ満を持してやっていきたいです。でも何より、「自分のままで個人として生きることを楽しく面白く肯定して鼓舞していく」というコアを忘れず、私のやり方で届けることが出来るいちばん遠くの人のところまで、必ず届けたいですね。ずっとゆっきゅんに出会いたかったと思ってくれている人が、まだまだいるはずなんです。だから、頑張ります。

 

(撮影=平松市聖/文藝春秋)

「大げさは誇張じゃなくて、その人には重大ってこと」「もっとみんな喜んでいい、悲しんでいい」“引き算のできない表現者”ゆっきゅんが目指す“DIVA”の姿

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