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伊藤 東京は裾野が広すぎるんですよ。でも正直に言えば、僕らはまだそんな先のことはまだ考えられてないんですよ。だからまずは、先輩たちくらい面白くなりたいなって思ってます。

先輩に言われた「もうお前ら、人に聞くな」

――ちなみに憧れの先輩というと。

伊藤 んーほんとは言いたくないんですよ、この人の名前は挙げてこの人は挙げないんだってなるので(笑)。でも強いて言えば、吉本なら囲碁将棋さん、他事務所だとカナメストーンさんがツートップかなぁ。

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畠中 僕は身近な先輩としてはニューヨークさん。冠番組もあってYouTubeもやっていて、楽しいと思ったことや面白いと思ったことを自分たちの形でメディアで再現できているというのが羨ましいです。

――オズワルドは、『M-1』などでも周りの先輩の助言を素直に吸収しようとする姿勢が印象的です。

伊藤 前まではそうでしたね。でも最近ちょっと考え方が変わることがあったんですよ。

©文藝春秋 撮影・末永裕樹

――知りたいです。

伊藤 僕らは毎年『M-1』の前に『オズワルドカップ』というライブをやって、勝負ネタ5本に対して先輩芸人に審査員として点数をつけてもらっていたんです。でも今年もやろうと思ってとろサーモンの久保田さんに審査員をお願いしたら「やらない」って返ってきて。「もうお前ら、人に聞くな」と言われて、マジでそうだなと思ったんですよ。

畠中 納得したよね。

伊藤 もう誰かの補助輪がないと進めない段階は卒業しないといけないんですよね。もちろん劇場で誰かに会えば質問はしちゃうだろうけど、ライブをするのはやめようと思って。畠中に言った時も「そうだな」って即決しました。

――いいエピソードですね。

伊藤 久保田さんはときどきやらかしてますけど(笑)、本当に面倒見がいいし優しい先輩なんですよ。 

畠中 というか『M-1』に出てるような芸人ってみんないい人なんですよね。そもそも芸人で悪い人はほとんど記憶にないし。だから、僕は芸人が叩かれたりしてるのを見るのがほんと辛いんですよね。テレビがあって、SNSもできて、まだそのバランスが整ってない状態なんでしょうけど、つい生きづらいなぁと思ってしまうんです。

©文藝春秋 撮影・末永裕樹

伊藤 僕は最悪、自分の好感度が落ちたときは妹(伊藤沙莉)の好感度貯金を利用させてもらえばなんとかなるんじゃないかと思ってるんですけど(笑)。

――最近は社会問題などに対しても、芸人さんがオピニオンというかコメントを求められることが増えました。

畠中 あれ本当に辛いですね。僕はできるだけそういうことに関わらずに、漫才という芸だけをやっていきたいです。

伊藤 まあでも、売れたらどうしたってぶつかる壁ですよね。前に一度『news zero』の配信企画に呼んでもらったことがあったんですけど。その時は周りが専門家の方ばっかりで芸人は自分だけで、「わかんないことはわかんないでいいですか 」って聞いちゃいました。だって芸人なんて、本当にわかんないことばっかりですから。

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