大阪最大の漫才コンクール『ABCお笑いグランプリ』で、2020年に東京芸人として史上初めて優勝を手にしたオズワルドの畠中悠さんと伊藤俊介さん。
「お世話になってます、伊藤と畠中でオズワルドです」で始まる漫才は独特のワードセンスがちりばめられ、『M-1グランプリ』では2019年から2年連続で決勝戦に勝ち進んでいます。
「東京の感じでしっとり」と自ら呼んだ芸風と、賞レースへの芸人らしい貪欲さはどう共存しているのでしょうか。
僕らがおもしろいと思うことと、世間がおもしろいと思うこと
――まずは、『ABCお笑いグランプリ』優勝おめでとうございます。優勝したことは、この後の『M-1グランプリ』にむけて励みになるとか、逆にプレッシャーになるとかありますか?
畠中 『M-1』のプレッシャーは今のところまったくなくて。『ABC』は去年初めて出て準優勝で、今年がラストイヤーだったので目標を果たした感じで嬉しいですね。
伊藤 去年の『ABC』で優勝できなかったときにほかの出場者を見て、優勝したコウテイを含めて大阪の芸人がこの大会にかける気持ちが自分たちとは比べ物にならないなって思ったんです。
だから、今年の攻略法は「気合」でした。もちろん去年も「気合」がなかったわけじゃないけど、あらためてすごい大会だなと実感したので、優勝したいという気持ちを強くもって臨みました。
――攻略法という言葉が出ましたが、『ABC』と『M-1』では戦略が違うんですか。
畠中 別に『ABC』用とか『M-1』用っていうのはないんですけど、7月の『ABC』はその時点での最高の形が出せたんじゃないかなと。
そこから『M-1』までまたさらに時間があるので、僕らがおもしろいと思うことと、世間がおもしろいと思うことの、そのちょうどいいところが合致したときに大爆発するのかなと思って、そこを目指してやっています。
――そういう「大爆発」って、ネタだけでなくその日の空気なんかでも変わってくるものなんですか。
畠中 日によってもだし、お客さんの層によっても違いますね。初見の人が多いライブでは、わかりづらいとウケなかったり。自分たちはどっちかっていうと、わかりづらいことをやってた気がするんです。そこらへんはいい塩梅を見つけないと賞レースは通らない。ホームの東京ではなく大阪のNGK(なんばグランド花月)でやらせてもらうときも、自分たちのネタを初めて見た人にウケるように工夫する必要を感じます。